坂本真綾「ヘミソフィア」

 2002年放送のSFロボットアニメ「ラーゼフォン」で、オープニング曲として使われたのが坂本真綾の「ヘミソフィア」だ。

 最近のアニソンは曲の良し悪しは別として、安定して高水準ではあるが、あまり既存の枠から外れず手堅過ぎるものが多いように思える。その点、00年代初期には実験的だったり尖った楽曲が結構あり、この「ヘミソフィア」もそんなインパクトの強い一曲だった。

 テレビのオープニングで流れるのは約1分半。そのわずか1分半だけでもかなり展開の度合いが激しいのだが、フルサイズで聴くと濃密極まりない。フルでも4分ちょっとなのだが、この時間内にいったいどれだけの音楽的情報量が詰め込まれているのか、初めて聴いたときには唖然としてしまったほどだ。

 全体的にはアグレッシブなデジタルビートが牽引する性急なサウンド。歌の主旋律はちょっと不穏なムードに包まれながらもキャッチーではある。基本はシンプルなバックトラックにボーカルが乗っているスタイルだが、歌が途切れてインストの部分になると、急に空気が変わる。その動と静のコントラストがアクセントになり、やがてストリングスがいきなり前に出てくると、サウンド全体がバーッと広がりを見せる。

 アバンギャルドといってもいいくらい攻めたアレンジと構成で、プログレッシブですらある。作曲・編曲・プロデュースを手掛けた菅野よう子の凄さが発揮された名曲だ。

 ちなみに歌メロはキャッチーと書いたが、カラオケで歌いこなすにはかなり難易度は高そう。これを清々しい歌声ですんなりと聴かせる坂本真綾の歌唱力にも改めて感動するはずだ。