高市早苗首相が旧敵国条項の削除を訴えたことが波紋を呼んでいる。

 高市首相は22日、国連総会の演説で「旧敵国条項は早急に削除されるべきだ」と主張した。旧敵国条項は国連憲章において、第二次世界大戦の連合国の敵国だった旧敵国(ドイツ、イタリア、日本)に軍事的兆候が見られた場合、安全保障理事会の許可なしに軍事行動を取れることを定めたものだ。

 国連でも2005年に敵国への言及を削除する決意を示す国連総会決議が採択されたが、条項自体は残ったままで日本政府は「死文化している」との見解を示していた。

 国会の場でことあるごとに削除を要請していたのがれいわ新選組(現いのちの党)の山本太郎氏だ。「(旧敵国条項がある以上)軍拡は自殺行為になる」と警鐘を鳴らし、陰謀論まがいともいわれていたが、高市政権が発足すると中国は旧敵国条項の存在をちらつかせ始めた。

 今回の高市首相の発言でも中国外務省の郭嘉昆副報道局長は「ファシズムや軍国主義が再び国際平和と安全の脅威となることを防ぐ」と現在も旧敵国条項は有効と取れる発言で、削除に反対の姿勢を示した。

 高市首相が国連の場で旧敵国条項を持ち出したことにいのちの高井崇志幹事長は25日の会見で「れいわの時から言い続けてきたことが図らずも証明された。旧敵国条項を念頭に置きながら日本の安全保障を考えていかなければいけない」と山本氏の主張が日の目を見たとの認識を示した。

 一方、国連PKOなどで紛争後の武装解除などに携わってきた同党副代表の伊勢崎賢治参院議員は「旧れいわの時にさんざん太郎さんと話した。彼(山本氏)が言っていることは僕の意見です」と削除には賛同したものの「日本政府は死文化しているスタンスで来たのに『まだ有効』ってことを自ら言っちゃった。僕はズッこけた。死文化のまま、放っておけばいい」とこのタイミングでの言及には疑問を呈した。

 中国に格好の材料を与えたとの見方もあり、日中関係への影響が懸念される。