NHK職員が番組出演者から性被害に遭い、同局の対応が不適切だった問題が波紋を呼んでいる。職員は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されたが、NHKは昨年、PTSD関連の特集番組を放送しており、〝ブーメラン〟となって返ってきた。

 NHKの5日発表によると、職員は番組出演者から性被害に遭って体調不良となり、休職した。被害から1年以上たった後、NHKに被害を打ち明け、フラッシュバックなどがあるため異動した上での職場復帰を強く要望。ただ、協議した人事局などはこれを認めなかった。職員は被害から3年以上たった後に希望していた部署に異動。PTSDと診断されていた。

 職員は昨年4月、当初の異動希望がなぜ認められなかったか、労働組合を通じてNHKに確認。同局はこの確認があった昨年4月まで、人権侵害事案が発生したと認識しなかったことが明らかになった。

 別のNHK職員の話。

「局内では、対応にあたった部署の中で人事局に対する批判でもちきり。職員から労組を通じて確認があった昨年、PTSD関連特集を放送したのでなおさらでした」

 これは昨年11月、Eテレドキュメンタリー番組「ETV特集」(土曜午後11時)で放送された特集だ。性被害などにより、PTSDの症状の一つであるフラッシュバックに苦しむ人を1年がかりで追った。

「『ETV』では、ドキュメント取材経験が豊富なスタッフがフラッシュバックに苦しむ人に1年にわたって密着取材しました。精神科医への取材も通し、PTSDは誰でも発症しうるといったことや周囲の無理解が2次被害を招く――などと紹介し、骨太の特集に仕上げました」(前出職員)

 NHKは昨年11月の放送を通じて視聴者にPTSDへの理解を啓蒙しながら、当の局内でそれへの理解が欠けていたわけだ。

 局内では、人事局は「ETV特集」の膨大な取材映像を視聴して反省すべきとの声が出ている。