12日のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第27回に、本題である本能寺の変に先立ち、次回の主題となる羽柴秀吉(池松壮亮)による「中国大返し」の伏線かとみられる場面があった。

 織田信長(小栗旬)の命で毛利氏の勢力圏である中国攻めにあたっている秀吉は、信長が本能寺で明智光秀(要潤)に討たれる2か月弱前、清水宗治の備中高松城(現岡山市)を包囲する。水攻めで城を孤立させると、ドラマ主人公の弟・小一郎(仲野太賀)に「急ぎ安土に戻って上様をお連れせよ」と命じる。「毛利攻めの総仕上げは上様に」と約束したからだという。ところが、信長の言う「総仕上げ」は、毛利を安土に出向かせることだった。

「いや、しかし…あれ~?」と混乱するばかりの小一郎。お供した前野長康(渋谷謙人)が「何!? ちょっ、おい、お前…」と声を荒げ、「尻がもたんぞ!」と引き返しへの不満をこぼす。浅野長吉(大地伸永)も「ここまで何日かかったことか!」と憤りを示し、藤堂高虎(佳久創)は、秀吉は信長の考えが分かっていた上で「あわよくばと思うたのでは」と疑問を呈す。すると、秀吉ならその程度のことは「やりかねんな」と4人の見方が一致した。

 この間、画面には地図が映り、「こうして小一郎はおよそ270キロもの距離を、長吉、長康、高虎とともに安土へと急ぎました」という安藤サクラのナレーションがかぶった。

 19日の第28回タイトルは「急げ!秀吉」。秀吉軍は光秀から毛利側への密書を入手し、重大事態を知る。光秀を討つべく、毛利の知らぬうちに和睦して京へ戻るという「中国大返し」に打って出た。高松城から、決戦となる京の山崎まで230キロといわれる。ムダ足となった小一郎らの安土行脚は、結果的にその予行演習の役割を果たしたとも考えられる。

 長吉は「途中の宿場にも、上様をお迎えするための支度をしておくようにといって、銭もたんまり置いてきた」とも話した。信長がいなくなった以上、この〝投資〟は秀吉方に役に立つものになり得る。

 さらに、信長が出向いてくれれば「明智殿や柴田(勝家)の鼻をあかすことができるしの」(長康)という効果も期待できる。まさに秀吉は中国大返しで、北方攻めの勝家(山口馬木也)やその他有力家臣に先んじることができ、後継者選びで主導権を握った。

 一方、高松城では毛利方の安国寺恵瓊(立川談春)との間で和睦交渉が始まっており、秀吉と黒田官兵衛(倉悠貴)による〝連係プレー〟が恵瓊を感心させた。本能寺の変と並行して、秀吉一大行動の〝伏線〟も張られていた――。