ステージの最前線から、グループを支える側へ――。福岡発のアイドルグループ「LinQ」の創設メンバーとして活動し、2018年には3代目リーダーに就任した吉川千愛(よしかわ・ちあき=32)さん。21年の卒業後はIQプロジェクトスタッフとして後進育成に携わり、現在は2児の母として仕事と子育ての日々を送る。アイドルとして過ごした10年間は、今も人生の大きな財産だ。
芸能界への入り口はAKB48だった。中学生の頃から熱心なファンで、高校1年生の時には握手会にも参加。憧れの松井咲子から「アイドルになったらいいじゃん」と声をかけられたことが背中を押した。AKB48の11期オーディション応募を考えていたが、締め切りに間に合わず断念。その直後、天神で見つけた「劇場型アイドル誕生」のポスターをきっかけにLinQのオーディションに挑戦した。母親の「やるだけやってみたら」という後押しもあり合格。デビューまで約1か月で十数曲を覚え、2011年4月に創設メンバーとしてステージに立った。
結成当初は福岡発の大型アイドルプロジェクトとして注目を集めた一方、毎週土日に4公演というハードな日程もあり、客席が10人ほどの日もあった。「どうすれば来てもらえるのか」と悩む日もあったが、グループは少しずつ成長。初代リーダー上原あさみからは先頭に立つ強さを学び、2代目・天野なつの時代には副リーダーとしてグループを支えた。そうした経験を重ねる中で、リーダーとしての意識も芽生えていった。
18年には3代目リーダーに就任。「解体・再開発プロジェクト」を経て新体制へ移行した時期で、同期が少なく後輩中心の11人体制。「辞める理由がないくらいLinQが好きだった」と振り返る。創設メンバーとして迎えた10周年は特別な節目で、「たくさんの方に愛されながら10周年を迎えられたことは誇り」。その思いを胸に、21年に卒業を決断した。
卒業後は裏方の道へ。現在はIQプロジェクトスタッフとして、研究生や「LinQ KIDS」の育成、オーディション運営などに携わる。「この子はこうしたらもっと良くなる」。アイドル経験者だからこそ見える視点で後輩を支えている。研究生時代から見守ってきたメンバーが成長し、LinQのステージで活躍する姿を見ることが大きな喜びだ。
プライベートでは2児の母。「自分の子供は100倍かわいい」と笑う。幼い頃に両親のけんかを見た経験から、夫婦で「子供の前では絶対にけんかをしない」と約束している。休日は子供中心の生活で、時折ガトーショコラやミスタードーナツのアイスミルクティーを“ご褒美”にしてリフレッシュする。そして今も挑戦したいことがある。現役時代に福岡マラソンを完走した後、そのままライブに出演した経験もあり、「子育てが落ち着いたら、また走りたい」と話す。苦しくても最後には「やって良かった」と思える達成感は、マラソンも出産も同じだと感じている。
今も初期メンバーとの交流は続く。高木悠未の家に天野なつ、桃咲まゆらと集まり、子供同士を遊ばせながら過ごすこともある。「CMや番組で見かけるとうれしくて、つい写真を撮ってストーリーに上げてしまうんです」と笑う。「LinQの10年は私の誇りです」。創設メンバー、3代目リーダー、そして育成スタッフ。立場は変わっても、今度は支える側としてグループの未来を見守っている。














