セクシー業界最大級の横領事件となる可能性も――。東京地裁で15日、セクシー映像メーカー「株式会社ナチュ」(以下、ナチュ)が、同社の金を着服したとして当時取締役経理部長だった男性A氏に対し、約5億円の損害賠償を求める訴訟の第2回口頭弁論が行われた。

 ナチュ関係者によると、帳簿上における被害額の総額は5億~7億円あまりに上るという。業界で表面化した横領事件としては巨額だ。この日、A氏は出廷せず答弁書の提出もなかった。

 A氏は50代で、ナチュが創設した1999年から付き合いのある会計事務所の元担当者。2008年に入社し、同社の経理部長となると、財務のほぼ一切を任されるようになった。

 不正が発覚したのは22年12月。ナチュ関係者が、決算報告を先延ばしにするA氏を不審に思い顧問税理士に相談したところ、それを察知したA氏は退職代行を使って突然退職。その後の調査で、会社に提示した決算報告書と、税務署用の申告書に記された預金残高に約7000万円の違いがあることが判明した。

 さらに過去の帳簿を精査すると、巨額の資金が現金で引き出されており「ほぼ毎日、100万円ずつ引き出した形跡もあった」という。

 会社に残された大量の領収書から、横領したとみられる金は主に銀座のクラブ代に消えていたようで、近年は周囲にアメックスの最上級「センチュリオンカード」を誇示したり、某有名歌舞伎役者のタニマチをしていることなどを吹聴。「通勤は毎日タクシー。銀座通いを始めてからは、長髪を後ろで結って着物姿で出社することも多かった」という、謎の羽振りの良さを見せていた。

 この時点で怪しんでもいいようなものだが、経営陣の一人は「彼は別の名刺も持っていて『個人の顧客もいるから、その収入がある』と言ってました。我々のわきも甘かったんです。完全に信用しきっていた」と悔しさをにじませた。

 ナチュは業務上横領の容疑で告訴状も提出しており、民事、刑事の両面で進めていく。今後の行方が気になるところだ。