“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は、13日に決勝戦が行われる女芸人No.1決定戦「THE W 2025」で、新道が本命に推す女性ピン芸人を紹介する。いよいよ“無冠の帝王”を返上する時が来た!
紺野ぶるまさんは今や、“賞レースで最も活躍している女性ピン芸人”と言っても過言ではありません。それは結果だけを見ても明らかです。
ぶるまさんが賞レースで頭角を現したのは2017年のこと。ピン芸人日本一決定戦「R―1グランプリ」で初めて準決勝進出したかと思えば、復活ステージを勝ち上がって決勝進出。さらに同年暮れには初めて開催された「THE W」でも決勝に勝ち上がりました。17年以降の戦績は次の通りです。
【R―1】
2017年 決勝進出
2018年 決勝進出
2019年 準決勝
2020年 準決勝
2021年 準決勝
2022~23年 芸歴制限で不出場
2024年 準決勝
2025年 準決勝
【THE W】
2017年 決勝進出
2018年 決勝進出
2019年 決勝進出
2020年 準決勝
2021年 準決勝
2022年 2回戦
2023年 2回戦
2024年 準優勝
さらに漫才日本一決定戦「M―1グランプリ」にもルシファー吉岡とのユニット「ぶるファー吉岡」として出場し、21、22年に準々決勝まで進出しています。
「THE W」で見ると22、23年は2回戦で敗退しましたが、賞レースに毎年出るのも並大抵のことではありません。そのうえ、ぶるまさんは22年に出産をしている。普通なら休んで当然ですが、それでも賞レースに出場する熱量は、選ばれた才能に応えているように見えます。
ぶるまさんの場合、17年にR―1、「THE W」で決勝進出しているので、その後は準決勝に進出しても下り坂に見えてしまう。実際に賞レースの時期になると、今までにない期待を寄せられ、プレッシャーからメンタルを壊す芸人さんも少なくありません。
さらにR―1では21~23年に「芸歴10年以内」という制限がありました。ぶるまさんは芸歴10年目だった21年は出場できましたが、22、23年は出場自体できなくなり、ネタをやる目的を見失ってもおかしくない状況でした。
しかし“賞レース戦闘民族”とも呼ぶべきぶるまさんは「THE W」に出場するのはやめませんでした。20~23年は決勝に進出できず、心が折れてもおかしくない状況なのにネタを磨き続け、昨年は過去最高の準優勝という結果を残した。「すごい」としか言いようがありません。
そして今年の「THE W」では、予選でトップと思えるウケ方で決勝進出。私には「貫禄の横綱相撲」に見えました。「今年の主役」と思わせるような爆笑でしたので、決勝戦では本命に推したいと思います。
ぶるまさんのネタの特長は、漫才師のようにニンが乗っかっていることです。1人コントでも珍しいタイプと言えるでしょう。
コントはネタの中の役を演じるので、ネタによっては全く違うキャラを演じることになるのですが、ぶるまさんのネタは見た目からくる的確な配役だけでなく、言っているセリフが「絶対本音なんだろうな」と思わせる等身大の言葉選び。すべてのネタに共通するブレてない人間力が武器になっているように思います。
その結果、お客さんがついていきやすく「待ってました」と思わせるだけの軸がある。ネタによって人間の極端な変化がない分、連載読み切り漫画のようなワクワク感がある。今回はどんな設定で紺野ぶるまは立ち回るのか? そんなふうにお客さんに思わせる。だから安定して爆笑を取り続けることができるのでしょう。
今年の「THE W」決勝は13日に行われます。決勝にはぶるまさんのほか、ニッチェ、エルフ、とんでもあや、電気ジュース、パンツ万博、もめんと、ヤメピが進出。強豪揃いですが、10年近く賞レースで活躍してきた“無冠の帝王”紺野ぶるまさんが初めてのタイトルを手にする瞬間が見られるのではないでしょうか。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人No.1決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。












