【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。今年もノーベル賞が発表され、大阪大学特任教授の坂口志文さんが生理学・医学賞を、京都大学特別教授の北川進さんが化学賞を受賞しました! ノーベル賞は人類に多大な貢献をした人に贈られる賞。日本人の研究者が選ばれ、世界から称賛されることはとても喜ばしいですね。授賞式が楽しみです。

 さて、そのようなニュースに関連し、今週は世界からも認められているアニメーターの名作を実写化した映画「秒速5センチメートル」を紹介します。

 原作は、日本を代表するアニメーション監督・新海誠さんのアニメ映画です。小学校で心を通わせた遠野貴樹と篠原明里は卒業と同時に離れ離れに。中学1年生の吹雪の夜に再会した2人は、大人になってまた同じ場所で会うことを誓います。そして別々の人生を歩んだ2人の淡い恋の行方は――というストーリーです。

 まずポイントとなるのが、新海誠作品とはなんぞや、という部分。新海さんの「君の名は。」も「すずめの戸締まり」も今作も、そのほとんどに共通するのが“すれ違い”“時間の隔たり”です。これらの要素が詩的に織り交ざっているというのが新海さんの特徴なんですよ。実写でも瞬間の織りなす距離感をどう表現するのかが注目で、距離感とか切なさという余白を沈黙とか視線とか空間で表しているんですよ。画を見た時に余白がすごくあるんですけど、それがもどかしさや埋まらない距離、すれ違いを映像的に演出しているんです。

 それだけではありません。キレイな画作りの人は今までもたくさんいたんですけど、新海さんが圧倒的に違うのがポップ性です。好意を寄せる男女がすれ違う。このもどかしさをすごくポップに描きながらも画作りはアート的。個人的な思いが強い作家でありながら国民的なヒットを生み出す力があるのは、観客にとって入り口はポップで分かりやすいのに実は奥が深い作風にあるのかなとも感じました。

 アニメ版の「秒速5センチメートル」が公開された2007年当時、新海さんはアニメ界での評価は高かったものの一般的にはまだ無名でした。高い実力があっても、世間一般に認知されるにはやはりきっかけが必要ですよね。坂口教授、北川教授ももちろん学会では著名な先生ですが、今回の受賞で初めて知った方も多いと思います。そうした側面でも、やはりノーベル賞には大きな意義があると言えます。