2025年度後期NHK朝の連続テレビ小説「ばけばけ」が29日にスタートした。ヒロインの松野トキ役を演じるのは女優・高石あかり(22)。朝ドラのヒロインという幼いころからの夢をオーディション3度目にして射止めた現在の心境とは? 同ドラマの見どころも併せて、このほど本人に話を聞いた。

「ばけばけ」の舞台は明治時代の島根・松江。急速に西洋化が進む中、トキ(高石)とヘブン(トミー・バストウ)夫妻が愛してやまない「怪談」を通して、埋もれていった名もなき人々の心を代弁する夫婦の物語だ。小説「怪談」でも知られる明治時代の作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、その妻セツがモデルとなっている。

 怪談がドラマのキーワードになっているだけに撮影前、高石は「お化けが出てくるかと思った」と苦笑する。

「お化けは出てこないかもしれないですね。ただ、ドラマの中で怪談を語るシーンはあります。5つの怪談を一気に聞かせるんですよ。セリフ量が多かったんですが、それを乗り越えられた時は充実感を覚えましたね。楽しみにしてもらえたらいいな」

 今回のドラマは、トキとヘブンという国際結婚した夫婦の関係性も見どころの一つだ。モデルになったセツと八雲という夫婦が、高石には「なんていとおしい2人なんだろう」と映っている。

「言語の壁や文化の違いは当然あります。“違う”というのは大変なことだけど、そのあべこべなところも、生活をすごく楽しいものにしている。2人の生活が少しでも見てくださる方に伝わったらいい」

 それだけに国際結婚についても「すばらしいことだと思う」とポジティブに受け取っており、「(撮影に入って)より深くわかったのは、きっと大変なこともある中で、お互いが歩み寄れた時の幸せはすごく大きいんだろうなということですね」。

 朝ドラのヒロインは幼いころからの夢だった。実際、今作のヒロインを射止めるまで、朝ドラオーディションは2度受けたという。22年度後期の「舞いあがれ!」(ヒロイン・福原遥)と25年度前期の「あんぱん」(同・今田美桜)だ。幼いころからの夢だったせいか、それらのオーディションでは「舞い上がってしまって、ずっとふわふわしてる感覚。夢の中にいるようでした」。

 だが、今回は違った。

「地に足がついて、ものすごくリラックスしていたんです。『あ、オーディション行こう』くらいの感じ。3次審査の時には『このスタッフの方々と一緒にお仕事したい』と強く思い、夢と同じくらいその気持ちが強くなりましたね」

 そう明かすのも、今回のドラマが「舞いあがれ!」の時と同じNHK大阪放送局が制作しているのもあるだろう。高石は「舞いあがれ!」の最終オーディション時のことをこう振り返る。

「私、(大阪放送局のスタッフに)言ったんです。『いつか、みなさんとまたご一緒できるように頑張るので』と。そしたら、夜ドラ『わたしの一番最悪なともだち』(23年)に出演することが決まり、大阪放送局のスタジオに帰ってくることができました。『本当に幸せだな』と思っていたら、こうして『ばけばけ』の撮影もできている。改めて考えても不思議な感覚ですし、この気持ちは忘れたくないな」

 その視線はまっすぐ前を見据えていた。

 ☆たかいし・あかり 2002年12月19日生まれ。宮崎県出身。14年にエイベックス主催のキッズコンテスト「キラットエンタメチャレンジコンテスト2014」でナルミヤオンライン賞を受賞して芸能界入り。19年4月に女優として本格始動することを発表した。21年に映画「ベイビーわるきゅーれ」で初主演したほか、今年は「遺書、公開」「ゴーストキラー」「夏の砂の上」の3作品が公開。ドラマでも23年に「堕落JKと廃人教師」、25年「御上先生」、同年「アポロの歌」など多数出演している。