2日のNHK連続テレビ小説「あんぱん」第112回で、ほのかながら秘めた思いもうかがわせる蘭子(河合優実)と八木(妻夫木聡)の手が触れ合った。
頭上に掲げた手持ちの書類入れでしのつく雨をさえぎる八木。自室を出て追う蘭子が傘を差しだす。その右手は柄のグリップ部を余して握っていたが、八木の左手はそこではなく蘭子の右手に重なる。2人の距離も縮まり、俯瞰撮影で写された傘は小刻みに揺れた。
雑貨店を発展させた八木の会社で、フリーランスの蘭子は宣伝文を手がけるなどしている。姉・のぶ(今田美桜)の夫である嵩(北村匠海)の軍隊時代の上官が八木。そうした背景で蘭子と八木が出会った当初、のぶは2人が恋愛関係になるか関心を抱いたが、蘭子はそっけなく、もう恋はしない旨の言葉を放つ。蘭子は戦時、結婚を誓い合った豪(細田佳央太)を中国戦線で失っていた。
ところが112話で、蘭子の胸中が重層的に描かれた。
傘のシーンに先立つ蘭子のアパート室内。届け物を渡しに来た八木と蘭子が向き合うも視線は合わせず、沈黙が訪れる。そこに雷鳴。気まずくなったのか、蘭子はびんのフタが開かないといって八木に開けてもらう。八木は「固いな」と力を込めて開ける。2人に雨音がかぶる…。
八木に対する微妙な思いを示す沈黙。恋の嵐を予感させる雷鳴。恋は封印と頑なになっていた心を解き放つかのように、びんの固いフタが開けられた。開放された感情がほとばしるが如く、雨が降り注ぐ。だが蘭子の心は一筋縄ではいかない。伏し目のまま「私、もう八木さんの会社には行きません」と別離さえほのめかす。
蘭子の心理を読み解くカギを、妹メイコ(原菜乃華)が示唆していた。のぶ、母の羽多子(江口のりこ)との会話で、蘭子について「あの部屋の壁に掛かっちゅう豪ちゃんのはんてん見るたびにつろうなる」と告白。はんてんは、豪を忘れない気持ちを物語る一方、呪縛も象徴する掛物と化している。
Xでも「蘭子と八木さんパートだけ違うドラマみたい」「良すぎて2回見た」と注目の2人の行方。冒頭、作曲家のたくや(大森元貴)が「仕事も恋も全力投球」と嵩に語っていたのも意味ありげに聞こえる…。












