【フジテレビ中居騒動の深層④】元タレントの中居正広氏(52)の女性トラブルに端を発したフジテレビを巡る一連の問題は、元国民的グループのリーダーが芸能界を引退し、巨大メディアの経営陣が交代する展開になった。
3月31日に発表された第三者委員会の調査報告書では「人権意識の欠如・ガバナンスの機能不全」とフジは厳しく批判された。約40年間にわたって取締役を務め、同局を実質支配していたとされる日枝久氏が退任。経営陣の大部分が入れ替わった。そしてフジは人権・ガバナンス・コンプライアンス強化の対応策を打ち出した。それでも同局が信頼を取り戻すには長い道のりが待ち受けているという。元上智大学文学部教授でメディア文化評論家の碓井広義氏はこう分析する。
「企業風土を改善して、今回の一件で受けたネガティブなイメージを払拭するには一体何年かかるんだろうと思います。現状いろいろなことをしてますが、対症療法にしか見えないんですよね。一回潰してチャラにして、それでも民放の一つとして必要ならゼロから作っていくというぐらいのことをしないといけないのではないか」
実際、第三者委員会の調査報告書の公表後もスポンサーの多くがいまだ離れたままだ。碓井氏はフジがスポンサーを取り戻すのには「きっかけ」が必要だと言う。
「フジテレビ全体のイメージが改善しないと大企業は広告を出せませんが、それを示すのも難しい。例えばフジテレビについてどう思いますかっていう世論調査が行われて、視聴者、消費者のプラスの声が過半数を上回るとか。そういったきっかけがないと厳しいでしょう」
スポンサーが戻らない現状が続けば、当然番組予算は削られる。商品である番組のクオリティー低下は必至だ。フジ関係者も「視聴率の取れる番組にはもちろん予算が必要。今後スポンサーが戻らなければドラマ、バラエティーはかなり厳しい戦いになるでしょう」と不安を口にする。
これまでのようにバラエティーやドラマに大きい予算をかけるのは難しい。だとすればどうすればいいのか。碓井氏は「報道」に活路を見いだす。
「報道はそもそもバラエティーやドラマほどにコストをかけなくてもいいし、そもそもテレビメディアのあるべき姿は世の中の闇を暴いたり、社会問題に光を当てること。テレビならではの強みとしての報道にしっかり力を入れてやっていくというのは一つの打開策かもしれません。そうすることで世間の印象が変わることが期待できますから」
今回の一連の問題の遠因には、テレビという巨大メディアのゆがんだビジネス優先志向があると碓井氏は言う。だからこそ、女性の人権をないがしろにしてまでも番組出演する人気タレントの機嫌を取ろうとするわけだ。
「もちろん、民放がビジネスを重んじるのは当然ですが、権力監視といったメディア本来の役割『報道』がもう一方にある。その部分にクリエーティブを発揮してほしいと思います。テレビでしかやれないコンテンツとしての番組を一回立ち返って考えてみるといい。そうしないとズルズル後退していく感じがします」
フジテレビは本当に変わることができるのか。真価が試されるのはこれからだ。













