「第98回キネマ旬報ベスト・テン」表彰式が20日、都内で行われ、長い歴史の中で初の試みがあった。

 耳が聞こえない両親と聞こえる息子の関係、成長の物語「ぼくが生きてる、ふたつの世界」で助演女優賞を受賞した忍足(おしだり)亜希子(54)は、ろう者。司会のフリーアナウンサー・笠井信輔がレクチャーし、観客は手話で拍手と「おめでとう」を表した。

 忍足は実生活でも小学生の娘がいる母親だが、劇中で息子役を演じたのは吉沢亮(31)。その印象を聞かれ、こう振り返った。

「見た目はとてもかっこいい、きれいな顔をされている方で、お芝居もとても素晴らしかったです。手話もされたんですけれども、とても一生懸命努力してくださって、丁寧に向き合ってくださいました。息子役としてすごく伝わってくるものがあり、感動いたしました」

 会場には夫役を演じた今井彰人(35)が、檀上には呉美保監督(47)がお祝いに駆け付けた。呉監督によると、忍足は「天然、すごい。メチャクチャ面白いです、話してると…」とのこと。

 忍足は今回の受賞を、スタッフやキャスト一丸となっての「丁寧な作品づくりの結果だと思っております」とし、「私はろう者の1人として、これからもろう者次世代へ、ろうの子供たちへ伝えていけるような活動を、これからしたいと思っております」と決意を述べた。