“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は新しい漫才を開発している、“意識高い系”の男女コンビを紹介する――。
【プロフィル】
コンビ名‥戦慄のピーカブー
結成‥2021年1月1日
所属‥ホリプロコム
女性‥渋木プロテインおやじ
出身地‥埼玉県
生年月日‥非公開
男性‥いしはらあゆむ
出身地‥島根県
生年月日‥非公開
芸名だけ見ると逆のような気がしますが、渋木プロテインおやじさんが女性、いしはらあゆむさんが男性です。初めて見た時に思ったのは「意識高い系男女漫才師」。というのも漫才ではあるのですが、他では全く見たことない形であるだけでなく、印象的なパフォーマンスで、かつ笑いを取る量も申し分がないと思わされたからです。
しかもその表現が短い時間で形になっている。普段からネタに対して使っている時間がかなり多いことがうかがえます。漫才という芸は、観客が目で見るより耳で聞く部分に重点を置くことが多い。でもこのコンビは、聞くより見る部分に重点を置いている。普通とは逆の作り方をしていることが特徴です。
細部にわたって変化を追及しているので、漫才の冒頭から他のコンビとは明らかに違う。実際に台本を書き起こすとこんな感じです。
まず渋木がしゃがんだいしはらの頭上に右手を伸ばす。
2人「あー」
渋木「戦慄の」
いしはら「ピーカブー」
渋木が腕を戻し、いしはらがゆっくり立ち上がる。
いしはら「漫才を突き詰めた結果、こうなりました」
渋木が重心を下げ、いしはらの方に体を傾けながら「私さ…」
いしはら「うん…」
こんな感じでスタートし、渋木さんがボケたらいしはらさんがツッコむのですが、ツッコミのセリフと同時に決めポーズをする。同時に渋木さんも決めポーズをしていくという形が主流です。いわば“ダブル決めポーズ漫才”で、とにかく視覚的に楽しませてくれます。しかもそのポーズも毎回違う。2人とも眉毛を太く書き、見た目だけでもかなり個性が強いコンビです。
ここまで見た目の個性が強いと賞レースでは評価がされにくい気がするかもしれませんが、昨年の「M―1グランプリ」では準々決勝まで勝ち進みました。8540組中123組に選ばれたわけですから、実力も備わっている。元日放送の「おもしろ荘」にも出演されました。
こんな魅力的なコンビに話を聞いてみました。
――コンビを組んだきっかけは
渋木「知人の紹介でユニットを組んでみたら、体(ポーズ的な意味)の相性がよかったです」
――今のスタイルの漫才になった経緯は
渋木「漫才と真摯に向き合って『漫才とはなんなのか』や『漫才の可能性』などを突き詰めた結果、この形が最適解でした。ゆくゆくは全ての漫才がこうなっていくと思います」
――M―1への思いをお聞かせください
渋木「今年こそ審査員の席に座りたいです」
――理想の将来は
渋木「シルク・ドゥ・ソレイユになる」
――相方をどう思っている
いしはら「衣装にポケットがないから、毎回スカートをめくりあげてパンツの中にスマホをしまうのはやめてほしい」
渋木「よく見たら私よりもやや身長が高い」
受け答えも意識が高いです。こんな偉大なお2人の今後に期待しかありません。渋木さんは以前、「ビバリーガール」という女性コンビを組んでいて、その時も珍しくて面白いコントをしていた。当時の相方であるかすみさんは現在、松竹芸能所属の「おなご」という女性コンビで活動されています。
自分は渋木さんの追っかけではないつもりですが、面白い女芸人を探していると絶対にたどり着いてしまう人なのは間違いありません。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。












