“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は、芸歴1年目ながら女芸人ナンバーワン決定戦「THE W 2023」で決勝進出して全国に名前を売った、本格派の女流漫才コンビを紹介する――。
今月9日に行われた「THE W」決勝戦に出場し、優勝こそできなかったけど、確かな爪痕を残した女性コンビです。
【プロフィル】
コンビ名‥はるかぜに告ぐ
所属‥吉本興業
養成所‥NSC大阪45期
結成‥2022年7月19日
立ち位置右‥一色といろ
生年月日‥1997年1月13日
出身‥大阪府
立ち位置左‥とんず
生年月日‥1998年11月27日
出身‥兵庫県
実はこのコンビ、今年3月に養成所を卒業したばかり。ということは芸歴1年目になりますが、それで「THE W」の決勝まで勝ち上がるのだからタダモノではありません。決勝でも見事な掛け合いを披露し、審査員の川島明さんが「よく1年目で、ここまでキャラクターを前面に押し出した」と絶賛されていました。
今年の「THE W」は、例年なら準決勝に進出するレベルの芸人が1回戦の動画審査でガンガン落ちる中、「はるかぜに告ぐ」は勝ち上がりました。「THE W」の準決勝はネタを2本披露しなければならないため、キャリアのある方が有利なはずですが、そんなことはモノともせずに決勝に進出しました。
この2人は養成所で出会いました。当初は、とんずさんが「ハイカラ世界戦」という男女コンビを組み、一色といろさんはピンでネタをしていました。初めての養成所ライブで「ハイカラ世界戦」は30位、といろさんは最下位だったそうです。
といろさんは台本を覚えずに舞台に立つという、まだ養成所に在学中とは思えない度胸を見せていた。そんな2人が組むと、ちょうど良い力の抜け具合と絶妙なテンポで漫才を運んでいくコンビになりました。
こうして「はるかぜに告ぐ」は養成所在学中の昨年、早くも頭角を現してきます。昨年の「M―1グランプリ」では3回戦に進出。エントリー数が増えた最近のM―1で、まだ養成所在学中のコンビが3回戦に行くのはとてつもなく難しいことなのです。
しかも「はるかぜに告ぐ」がコンビを結成したのは昨年7月。その翌月にM―1の1回戦に出場し、見事合格した。実績のある芸人同士が組んだケースを除いて、結成から1か月で2回戦に勝ち上がったコンビは聞いたことがない。そのうえ3回戦まで勝ち進んだということは、コンビの相性が相当良かったのでしょう。
「おもしろいコンビは、最初に組んだ瞬間からおもしろい」というのはよく聞く話ですが、これは「はるかぜに告ぐ」に最も当てはまるのではないでしょうか。昨年のM―1のエントリー数は7261組で、3回戦に進出したのは299組。そこに結成したばかりの、養成所在学中のコンビが入るのはとんでもないことなのです。
こうして昨年から実績を残した「はるかぜに告ぐ」ですが、この1年間に漫才はますます進化している。昨年のM―1で披露した漫才のテーマは「修学旅行の夜」でしたが、今年は「立食パーティー」や「カサ」について掘り下げる内容に変わっていた。選ぶテーマが目新しくなり、ネタの運び方の工夫も高くなっていると思います。
2人の漫才は、声が高いボケの一色といろさんがゆっくり話し、声が低めのとんずさんは速いテンポでツッコむ。若くて2人ともオシャレな見た目とは裏腹に、地に足のついたしっかりした漫才をされています。漫才の王道であるしゃべくりというシンプルな形ながら、きちんと勝ち上がっているのは技術がしっかりしているから。本当にすごいことだと思います。
今後も賞レースで活躍するのは間違いないですが、それに加えて近い将来、「はるかぜに告ぐ」がテレビで自分たちの冠番組を持ち、2人で司会を務めているのが目に浮かぶ。そんな存在になれる女性コンビだと確信しています。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。












