ボートレース徳山のSG「第33回グランドチャンピオン」は15日、ファイナルを迎える。大会前、ボートレース界のレジェンド・今村豊氏と約30年ぶりに再会し、対談を行った元天才ジョッキー田原成貴氏(64)はもちろん優勝戦にも熱視線を注ぐ。「まくりが好き」という奇才だが、インが幅を利かせたシリーズを踏まえ、注目は「1枠」だ――。

【田原成貴氏が熱く語る】いやはや、今大会のインの強さには恐れ入った。もともとオレはまくり大好きなボートレースファン。開幕前には全速ターンで艇界に革新をもたらしたレジェンド今村豊さんに会って「徳山は恐れずに握って回れる水面」と聞いていたので、連日のように外枠勢、まくり巧者に注目していたのだが、さすがはSG成績上位者が集う大会だ。一流レーサーぞろいなので、必然的にスタートもそろってしまう。どのレースも6艇がスリットでビシっと横並びになり、加えてインが強い徳山水面。もはやまくりの出番はないだろう。

 となれば、オレの「まくり買い」も封印せざるを得ない。優勝戦は素直に1号艇から買うことにする。安定した成績でポールポジションを手にした磯部誠選手。今節はスタートが冴え渡っていて、特に準優12Rは圧巻だった。インからコンマ04のトップスタートを決め、シリーズリーダーとしてがっちり首位を守った。さらに言うと、予選最終日(7R)も素晴らしかった。4カドの原田幸哉選手がヘコんだとはいえ、きっちりコンマ12のスタートを決めて会心のまくり差し。インがクルクルと先マイする今大会にあって、異彩を放つ外一気の強襲だった。彼の持ち味は卓越した乗艇と俊敏なハンドルさばき。オレも騎手としては背が高い部類だが、彼もボートレーサーとしては大柄な身長172センチ。専門家ではないので詳しいことは分からないが、おそらくバランスの良さと絶妙な体重移動のなせる業ではないか。

 SG初優勝にリーチがかかり、プレッシャーも半端ではないだろう。しかし、強気で度胸満点の磯部選手。仮にインから差されたとしても、2Mで逆転できるスキルも持ち合わせている。実際、予選3日目9Rではインから1Mで2艇に差されてバックストレッチで後手に回った。しかし、2Mで目の覚めるような旋回を見せ、逆転1着になっているのだ。切り裂くようなターンと強い気持ち。これを見せられると、もう彼に期待せずにはいられない。