ジャーナリストの山路徹氏(61)とテレビ朝日の〝バトル〟が勃発した。

 2007年に民主化デモに揺れるミャンマー・ヤンゴンで、軍の銃撃を受け命を落とした故長井健司さん(享年50)のカメラが先月26日に同国から返還された。それを受けて当時長井さんが所属していたAPF通信社が12日、都内で記者会見を行った。

 同社代表の山路氏によると、残された映像はわずか7分弱。肝心の銃撃が起きた瞬間の5秒ほど前で途切れていたという。それだけに「政治的な意図があるのではないか。見せたくない部分は(ミャンマー軍が)カットしていても不思議ではない。さらなる検証が必要になる」と指摘した。

 ところが、だ。その後に山路氏とテレビ朝日のバトルが勃発するまさかの展開に…。

 実は今回のカメラ返還にAPF通信は直接関わってはいない。テレビ朝日の独自取材の中で実現した返還だった。そのため、テレビ朝日は返還の際にタイで行われた記者会見を独占したのだが、これを山路氏は問題視。たまたま現場に居合わせた大手新聞社の記者が参加を試みると、テレ朝が会場から締め出したと同氏は言うのだ。

「タイでの記者会見は多くの日本のメディアに来てほしかった。多様な視点で検証するべきだった」

 これにはテレビ朝日も黙ってはいられない。質疑応答で同局記者が立ち上がると「メディアの威信に関わります。(締め出しの)根拠はあるんですか」と質問。「証言がある」と山路氏が返答するも「証言の根拠は? 証言が正しいとは限らないですよね」と猛反発した。

 反論が予想外だったのか、山路も「そもそも長井さんはフリーじゃない。うちの所属です。なのに映像も写真も勝手に使いましたよね。確認をさせてくれと頼んだのに返答もなかった」と糾弾。さらに「奪われたものを誰かが取り返したらその人のものになるんですか。映像は撮影した人のものでしょう。著作権の問題ですよ。はっきり言ってBPO案件です」とヒートアップする一方だった。

 会見終了後も言い争いを続けた2人。平穏な解決を迎えることはできるのだろうか。