〝女芸人マニア〟として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから〝馬鹿売れ〟しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は現役の女子大生で、お笑いマニアにも知られていないにもかかわらず、ピン芸人日本一決定戦「R―1グランプリ」で印象的な活躍を見せた女性ピン芸人を紹介する――。

 今月4日に決勝が行われた「R―1グランプリ2023」では、田津原理音さんが優勝しました。私は予選から見ましたが、誰も語っていない部分で言うと、準々決勝は女性芸人の活躍が目立っていたんです。

 特に2月2日、ルミネtheよしもとで行われた準々決勝の戦いはゲキ熱でした! まりんか、つむぎ麦、河邑ミク、みほとけ、ゆッちゃんw…。多くの女性ピン芸人が出場していて、個性的なメンバーが男性には思いつかない発想で会場を盛り上げていました。

 そうした中、女芸人について詳しいと自負している私ですら、全く知らない芸人さんが準々決勝に出場していました。それが「月は東に陽は西に」という芸名の女性。見たことも聞いたこともない。私だけでなく他のお客さんも同じだったようで、会場は「誰?」といった空気になっていました。

 やはり舞台でやるネタは、ある程度は知られている芸人の方がウケやすいのは間違いありません。すごく面白いネタでも、演者が知られていないと全くウケがない、なんてこともよくあります。しかも準々決勝ともなると、ライブシーンでそれなりに知られている芸人さんがほとんど。お客さんもマニアックな知識を持っている方が多いから、なおさらその傾向は強いんです。

 要するに準々決勝は、「月は東に陽は西に」さんがネタをやるには不利な状況。そんな中でしっかり笑いを取り、自分の持ち味を出していた。ものすごく声を張っていてネタも分かりやすい、笑いやすい、構成も見やすい、会場もドカドカ、ウケている…。そんな状態だったんです。

 ネタの内容は、コンサートを終えたアイドルが楽屋に戻ってきたら、霊がたくさんいることが分かり、除霊をする。ここでふと我に返り、「霊感あるのに正統派で売れてる場合かーー!!」と、自分の活動内容に自分でツッコんでいくというもの。1人ノリツッコミの形のネタで会場は大盛り上がりでした。

 女性ピン芸人で声を張り上げて笑いを取る人は、ここしばらく見たことがなかったので、私にとっても衝撃でした。しかも声を張り上げるのが演出ではなく、張り上げた部分がネタのメインとなり、何度も声を張り上げて笑いを取っているという形も珍しかったです。

 調べてみたら、現役の大学生とのことで驚きました。芸能事務所どころかお笑いサークルにも入っていない。そのためR―1には「アマチュア」として出場していました。にもかかわらずこの実力は脱帽するしかありません。

 どんな人なのか興味が沸いたので、直接お話しさせていただきました。

【プロフィル】
 芸名:月は東に陽は西に
 生年月日:2000年8月6日
 大学:津田塾大学4年
 サークル:無所属

 ――お笑いは好きなんですか?

「『お笑いなんて消えちゃえ!』みたいな人よりは確実に好きだと思います。お笑い博士の領域まではいかないです」

 ――好きな芸人は

「ラバーガールさんのネタをよく見ます」

 ――大学を卒業した後はどう活動していく

「現時点では、会社で働きながらお笑いも続けていきたいと思ってます」

 ――R―1で準々決勝に進出しましたが、何か戦略はあった?

「R―1の舞台は、私が普段ネタを披露している学生アマチュアのライブよりも幅広い年齢層の方が見にきていると思ったので、より『たくさんの人に伝わるネタ』を意識して作りました」

 ―R―1は何回目の出場?

「2回目です。去年は2回戦で敗退してしまったので、今年は一つ上の舞台に勝ち進むことができてうれしかったです。来年は準決勝に進めるよう頑張ります!」

 本人はこう言ってますが、来年は決勝の舞台で見られることを期待しています。

 ☆しんどう・たつみ  1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。