〝女芸人マニア〟として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから〝馬鹿売れ〟しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は、賞レースに強い芸人が数多く揃っている事務所に所属し、静かに実力を蓄えている女ピン芸人を紹介する――。

【プロフィル】
 芸名:さきぽん
 本名:高松咲季
 生年月日:1992年4月15日
 養成所:スクールJCA25期生
 所属事務所:プロダクション人力舎
 デビュー:2016年

 人力舎は賞レースに強いことで知られています。M―1グランプリではアンタッチャブル、キングオブコントでは東京、女芸人No.1決定戦「THE W」では吉住が優勝。またM―1では、真空ジェシカが2021、22年と2年連続で決勝進出するなど、ネタのおもしろい芸人が多いことで有名な事務所です。そんな人力舎で現在、静かに実力を蓄えている女ピン芸人をご紹介します。

 さきぽんさんは現在、ピン芸人として活動していますが、元々は「美女と野獣」という男女コンビを組んでいました。でも16~17年に活動した後に解散。その後、18~19年は男性2人、女性1人のトリオ「ロモぺ」として活動しましたが、こちらもまもなく解散し、そこからピンでの活動が始まりました。

 ただ彼女は、ピンの方が向いていたのかもしれません。ピン芸人として活動を始めた直後の20年1月1日にフジテレビの「おもしろ荘」に出演したほど、高い評価を得ました。

 とにかく迫力がある。声が出ている。それにおもしろい! これが私が実際に劇場で見たときの印象でした。ネタのクオリティーが高いうえ演技力があって、かつ迫力がある。ネタのレベルが高く、見ている方は思わず笑わされてしまいます。

 私は最近、月初めに「新道竜巳の女芸人フェス」というライブを開催していて、毎回40組近くの女芸人さんに出演していただいているのですが、さきぽんさんには別格のおもしろさがある。賞レースでも結果を出しはじめていて、昨年の「THE W」では準決勝にまで勝ち進みました。

 女芸人がやるネタで定番の1つが恋愛ネタです。「THE W」の予選でも、数多くの恋愛ネタが見られました。ただこれだけ恋愛ネタが多いと、どうしても比べられてしまう。そんな中でもさきぽんさんの恋愛ネタは、トップクラスに位置しているのは間違いないでしょう。

 さきぽんさんのネタでは、もれなくキスシーンが入っているのが特徴でもあります。どうやってネタをつくっているのか気になったので、本人に聞いてみました。

 ――どうゆう欲求でネタができていくの?

「私は妄想が大好きで、常に妄想しているんですよ。その妄想を書き止めている。こういう時に引き止められて、キスしてくれたらうれしい、と」

 ――ネタでは絶対にキスしますよね

「絶対にキスするね。キスしたくてネタやってるからね。どんだけいいキスをするかっていうね」

 ――ドリフでいうと、天井が落ちてくるみたいな感じ

「そうそうそう」

 キスを定番にしたいという欲求が彼女のネタのおもしろさの根底にあると思います。ウケるネタではなく、やりたいネタをやる方を優先しているのに、きちんと笑いを取っている。実はやりたいネタをやってきっちり笑いを取るのは、ものすごく難しいんです。

 お客さんが笑いやすいネタは、自分のやりたいネタとは違うことが多い。やりたいことが評価される芸人は、ごく一部だと思います。ただやりたくないネタをやって評価されても、後でつらくなります。そんな芸人は結構いるので、さきぽんさんのやり方は正しいと思いました。

 今年のピン芸人日本一決定戦「R―1グランプリ2023」では、準々決勝まで勝ち進みました。惜しくも準決勝には進めませんでしたが、会場ではしっかりウケており、今後の活躍が期待できるのは間違いありません。

【マニアック情報】
 さきぽんさんは21歳の女ピン芸人・有元さくら子さんとよく飲みに行き、酔っぱらうとおんぶしてもらうそうです。

 ☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。