“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は、決勝進出は逃したものの「THE W 2022」で準決勝に進出した、4人の子供を育てる“こもちTikToker”を紹介する――。

 ティックトックで33万人のフォロワーを誇る“こもちTikToker”竹田こもちこんぶさんを紹介します。特に芸能事務所には所属していませんが、今年の「THE W」では準決勝に進出しました。残念ながら決勝進出は逃しましたが、この人、普通では考えられないほどのガッツの持ち主なんです。

「時間が足りないどころの騒ぎじゃない!」と言う竹田さんのネタは、「何と闘っているかって? 育児だよ!」。自身が体験した子育てのエピソードを漫談とコントの中間のような演技で笑いを取る。その姿は、母親の強さそのものを感じさせます。

「THE W」では、今年初めて準決勝に進出しました。これまでネタを舞台でかけたことはほとんどなく、賞レースでしかネタを見ることはありませんでした。それなのになぜ結果を出せたのでしょうか?

 竹田さんは高校3年で表現することを始めましたが、最初は人から愛されるため、アイドルになりたいと思いました。その後、明治大学へ進学し演劇研究部に入部。さらに現在のダンナさんが立ち上げた劇団に参加し、主にコメディーを演じてきました。

 そんな彼女が大学3年生の時、病気に襲われます。バセドー病という甲状腺異常の病気で、息切れのほかに眼球が異常に突出する症状があった。外見が変わって周囲からの視線に耐えられず、1年間ひきこもって精神科にも通ったそうですが、その中で唯一の心の支えがお母さんでした。「人が幸せでいられるのは外見じゃない」ということをしきりに伝えてくれたそうです。

 お笑いを好きになったのは、自分のコンプレックスなどマイナスな部分をあえて前面に出して笑いに変えられるところ。エンターテインメントに変換する技術を見せられた時、感動して心をつかまれました。

 30代半ばになった時、子供を産むべきか、このまま夢を追い続けるか、迷ったそうです。その結果…、子育てと夢を同時に追い続けることにしました。過去には「R―1ぐらんぷり」に、三男を抱っこしながら出場したこともあるんです。

 現在は44歳で、4人の息子を育てながらお笑い活動をされます。ネタでも言っているのですが、子育てについて「毎日が戦争だよ」というセリフ回しに説得力がありすぎます。

「THE W」の準決勝で披露したネタは、ティックトックで何度も披露し、作り直していきました。芸人がネタをブラッシュアップするにはライブに何度もかけるのが普通ですが、彼女はティックトックでやっています。もちろんお客さんの前でやる方がいいのでしょうが、とにかく時間がないようです。

 普段から思っている“育児あるある”を面白おかしくやる。反応はティックトックのコメントなどを見るしかありませんが、その環境で準決勝まで勝ち進んだ才能は素晴らしい。セリフの言い方と動きにキレがあり、準決勝でもお客さんを笑わせていました。

 竹田さん自身は兄と弟に挟まれた3人兄弟の真ん中で育ち、活発な子供だったそうです。15年ほどは舞台を中心に活動していましたが、出産と同時にそれができなくなってしまいます。しかし表現をしたいという欲求は抑え切れません。

 2020年に長男が小学校に上がると、少しだけ余裕が出てきた。そこで始めてみたのがインスタグラム。もともとはSNSには疎かったそうですが、友達がやっているのをマネして始めてみたそうです。

 やっているうちに、インスタグラムに動画が流せることが分かったので、普段の家事、育児をネタにした動画を日々発信していきました。それを見た友達が「たぶん向いていると思うよ」と、ティックトックを勧めてきたので、子育ての手が空いた数分の間に動画を撮りはじめたそうです。

 多大な熱量を持っている竹田さんのネタをこれからも見続けていきたいと思います。

 ☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M-1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。