福岡県広川町の洞窟内にある石仏を蹴り倒したとして男子高校生が1日、礼拝所不敬の疑いで書類送検された。蹴り倒す様子の動画が2月中からSNSで拡散され、ツイッターでは「絶対に呪われる」などと批判が殺到。警察が調べていた。

 書類送検容疑は1月15日午前3時ごろ、洞窟内で石仏を蹴り倒した疑い。男子高校生は「目立ちたかった。二度と罰当たりなことはしません」などと容疑を認めている。

 郷土史家で福岡県地方史研究連絡協議会の佐々木四十臣(よそおみ)氏は「この洞窟は大きな自然の洞窟で、内部に『十三仏』が彫刻されています。明治35年に9人の地元民がお金を出し合って作りました」と解説する。

 それまでは「こうもり谷」と呼ばれる陰湿なイメージがあった場所で、博打の場所にも使われていたという。「9人が町おこしというかイメージチェンジを図ろうとしたのです。『積善(せきぜん)の碑』が建てられ、真面目に悪の道に踏み込まず生きていくという思いが込められています。周辺は霊域となっていました」(同)

 十三仏とは文字通り13体の仏のことで、不動明王、釈迦如来、文殊菩薩などがいる。他にも誰かが持ち込んだ仏像が複数あり、高校生が蹴ったのはそれらの石仏だった可能性があるという。

 なぜ高校生が深夜に洞窟を訪れていたのか。「30年以上前には洞窟の近くにお堂があって管理されていたのですが、それが火災でなくなってからは荒れてしまいました。その後、心霊スポットとして扱われたこともあり、若い人が押し寄せるようになったのです」(同)

 確かにネットではこの洞窟は心霊スポットとして有名だ。佐々木氏は「心霊スポットになって地元の人は迷惑に思うところもあった。それにしてもなぜ蹴ろうとまでしたのか。十三仏を作った人たちの真面目に生きるという思いが踏みにじられた。それが歯がゆいです」と事件への思いを明かした。