「第68回江戸川乱歩賞」と「第75回日本推理作家協会賞」の贈呈式が7日、都内で行われた。ミステリー作家の登竜門「江戸川乱歩賞」は385編の応募から、荒木あかねさんの「此の世の果ての殺人」が選考委員満場一致で、史上最年少の23歳7か月(今年5月の受賞決定時)で受賞した。

 荒木さんは中学3年から小説を書き始め、九州大学文学部卒業後、就職。受賞作は就職した年の春から執筆を始めたという。しかも、その執筆時間の取り方と執筆方法が選考委員らプロの作家たちを驚かせた。

 荒木さんは「必ずしもかなわないような作家になるという夢を打ち明けると、親に心配かけてしまうと思って、家族にはナイショで書いていました。就職してまとまった時間が取れないので、通勤電車の中でスマホのメモ機能で書いて、時間のある時にパソコンで書き直したりしていました。家族には何かの賞を取ったら伝えようと思ってたので、5月に受賞を伝えたら、とても喜んでくれました」と語る。

 日本推理作家協会代表理事の京極夏彦氏、選考委員の月村了衛氏、綾辻行人氏、新井素子氏、柴田よしき氏らは「今回の江戸川乱歩賞の候補作品はハイレベル。その中でもズバ抜けていた。ここまで完成度の高いものは珍しい」と評していただけに、現代っ子の執筆スタイルに驚いていた。

 プロの作家といえば、周囲に「プロになる」と宣言して職を捨てて専念したり、取材として長期の旅行をしたり、高級旅館に缶詰になったりというイメージ。新しい作家像だろう。

 なお「日本推理作家協会賞」の〈長編および連作短編集部門〉は芦辺拓氏の「大鞠家殺人事件」、〈短編部門〉は逸木裕氏の「スケーターズ・ワルツ」と大山誠一郎氏の「時計屋探偵と二律背反のアリバイ」、〈評論・研究部門〉は小森収氏の「短編ミステリの二百年〈1〉~〈6〉」だった。