エンタメ産業はコロナ禍とどう向き合ってきたのか――。東証スタンダード上場企業で総合エンターテインメント事業を展開している株式会社KeyHolderの大出悠史代表取締役社長(40)を直撃。同社の連結子会社でアイドルグループ「SKE48」の運営を行っている株式会社ゼストの高田裕充代表取締役社長(48)、同じく連結子会社で「乃木坂46合同会社」の持ち分の50%を保有する株式会社ノース・リバーの北川謙二代表取締役社長(42)を交えて、コロナ禍という未曾有(みぞう)の危機と逆襲への展望について聞いた。

 ――KeyHolderは2019年3月に芸能事務所「AKS」からアイドルグループ「SKE48」を30億円で買収し、エンターテインメント事業に本格参入した。
 KeyHolder大出社長 SKE48の運営を我々のところでやらせていただくという形になった翌年にコロナ禍になってしまった。それだけに当初、思っていた通りにはなかなか進まないところもありました。コロナ禍の中でいかに収益の底上げを図るか。この3年間はトップラインを目指すというより、いかにこのグループを守っていくかということに従事してきたというのが正直なところです。

 ――SKE48事業のスタートとほぼ同時期にNGT事件(NGT48のメンバーがファンの男2人に襲われる被害が発生)が起こり、48グループ全体の活動にも大きな影響が出た

 大出 「SKEは大丈夫か」「SKEも同じだろう」というご意見、ご指摘も受けました。メンバー一人ひとりへの教育の徹底を図るとともに、会社としてもでき得る限りの対策を講じました。一例として、メンバーを守るためにセコムさんの警備・通報システムを取り入れており、SKEはしっかりやっていますということを丁寧にファンの皆さまや株主の皆さまに提示していく。そういったことを積み重ねながら信頼を得ていくことに務めました。

 ――19年からAKB48グループ選抜総選挙がなくなってしまったのは想定外だったのでは

 大出 前年に松井珠理奈が1位、須田亜香里が2位ということで、引き続きSKEを盛り上げる形になればと期待していたところはあったのですが…。ただ、状況に様々な変化もありましたので、新しい取り組みを交えながらしっかりした形にしていきたいという思いにシフトしました。

 ――総選挙の投票のためにグループのモバイル会員になる人も多かったがそれもなくなってしまった

 大出 総選挙で(モバイル)会員数が伸びるなど、良い効果もありましたが、SKEは根強いファンに支えられているグループですので、従来のファンにお楽しみいただきつつ、新規ファンにもリーチできる新たな形で魅力を打ち出し、ファンの皆さまとの接点を増やしたいという思いはありました。ただそこを考えているときにコロナ禍という状況になってしまった。

 ――コロナ禍の影響で20年3月に横浜アリーナで予定されていた48グループ総出演のKeyHolder株主優待ライブと高柳明音卒業コンサートが中止。その後も同年9月と21年9月に日本ガイシホールで予定されていたSKE48のアリーナコンサートがコロナ禍のため次々と中止となった

 大出 かなり影響は大きかったですね。もちろん収益性の部分もありますが、株主優待ライブがなくなってしまったことで株主の皆さまのご期待に応えられなかったのがとても残念でした。本当に大きな打撃を受けたというところでした。

 ゼスト高田社長 アリーナ規模のコンサートの中止は痛かったです。ただグループの根幹であるSKE48劇場の灯はできるだけ消さないようにしたかった。制限が緩和されれば段階的に復活させていこうとしていました。

 ノース・リバー北川社長 20年3月ころから本格的にコロナ禍の影響が出て、コンサートやイベントができなくなり、我々エンタメ事業に関わるものも、それから2年以上苦しい日々を過ごしています。乃木坂46でも予定段階や未発表のものも含めてかなり多くのイベントやコンサートができなくなっている。ファンの皆様にも残念なお知らせをさせていただかなければならないのはつらかったですね。
       
☆おおいで ゆうし 2005年三井住友銀行入行。2017年株式会社KeyHolder入社。2022年3月代表取締役社長就任。

☆たかた ひろみつ 1997年エイベックス・ディーディー株式会社(現・エイベックス株式会社)入社。2019年株式会社ゼスト入社。2022年3月代表取締役社長就任。

☆きたがわ けんじ 2011年株式会社ノース・リバーを設立。NMB48の6枚目シングル「北川謙二」のモデルでもある。