政府は新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置について、13日が期限となる1都12県を延長する方向で調整に入った。オミクロン株は感染力が強い一方、従来のデルタ株などに比べると重症化しにくいとの指摘があるが、それでも感染者数拡大のインパクトは大きいようで、各業界にさまざまな影響が出ているという――。

まん延防止等重点措置が13日に期限を迎える13都県は、東京のほか、群馬、埼玉、千葉、神奈川、新潟、岐阜、愛知、三重、香川、長崎、熊本、宮崎で、延長は3週間を軸に検討されている。9日に関係閣僚で延長幅を判断し、10日に専門家に諮った上で対策本部で正式決定する。高知県への追加適用も検討しているという。

 緊急事態宣言については岸田文雄首相が7日、国会で「現時点で検討していない」と否定的な考えを示している。

 感染力が強いとされるオミクロン株の拡大により、東京都では連日、1万人を超える新規感染者が出ている。7日も1万2211人と、月曜日としては最多を記録した。日本全国でも6万8000人以上の感染者が確認されるなど、勢いは衰えていない。

 オミクロン株は昨年拡大したデルタ株よりも重症化しにくいと指摘されているが、社会へのインパクトは第5波よりも大きい。

 都内の企業に務める40代会社員は「昨年の緊急事態宣言下でもテレワークが認められなかったわが社も、ようやく導入しました。これまでテレワークがNGだった理由は、社外に持ち出せない機密情報を扱っているからでしたが、さすがに都内で1万人を超える新規感染者が連日続くと、そんなことを言っている場合じゃないなということです」と話した。

 もっともテレワークは、想像以上に仕事がはかどらないと嘆く。

「結局、社外秘の情報は家に持ち帰れないので、どうしようもない。また、年度末でいろいろ作成しないといけない書類があるのですが、関係する担当者が複数いる場合、一堂に会して同じ資料を見ながらやった方が楽なのにそれができない。コロナが落ち着いたら間違いなく、ウチの会社はテレワーク、取りやめでしょうね」

 ほかの業界でも、第6波ならではの影響が出ているという。濃厚接触が避けられない風俗業界では「緊急事態宣言でも休まなかったベテラン風俗嬢が、ついに休みだしました」と関係者が明かした。

「あまりにも感染者数が多いから怖いというのです。数が落ち着くまでは出勤しないというから、大変です」

 オミクロン株は重症化しにくいといわれているとはいえ、やはり新規感染者数のインパクトがこれまで以上に大きいようだ。まん延防止等重点措置が延長されても、すぐに感染者が減るわけではない。より効果的な対策が求められそうだ。