総合エンターテインメント事業を展開する株式会社KeyHolderの大出悠史代表取締役社長(40)、株式会社ゼストの高田裕充代表取締役社長(48)、株式会社ノース・リバーの北川謙二代表取締役社長(42)への直撃インタビュー第3回は、コロナ禍の中で驚異的な視聴数を記録した乃木坂46・白石麻衣の卒業コンサートにフォーカス。さらにSKE48が新たに仕掛けた劇場公演の狙いについても聞いた。新プロデューサーに小室哲哉氏を起用した理由とは――。

 ――20年10月に行われた乃木坂46・白石麻衣の卒業コンサートは無観客生配信で行われたが、この配信ライブは記録的なチケットの販売数となった

 ノース・リバー北川社長 約23万枚でした。多くの方々に温かく見守っていただけたのかなと思います。グループの先頭に立っていろいろと活躍してきたメンバーですので、もしかすると乃木坂のコアなファンだけでなく、最後の卒業を見てみようかなと興味を持っている方も配信だったことで気軽に見るという形でその数字につながっていったのかもしれません。

 ――それだけ多くの人に愛された存在だった

 北川 AKBもそうですし、SKEや=LOVE(イコールラブ)さんもそうだと思いますが、どのグループも自分の芯を持っている、ぶれない何かを持っている子は誰も見ていないところですごくストイックに自分磨きをしていたりします。自分の信念を曲げず、貫き通している子がファンに刺さっている部分があって、その結果、人気につながっていったり、周りの人たちに支えられながら広がっているのではないかと思います。

 ――この卒業コンサートで配信という形が多くの人に認識された

 北川 コロナ禍の中、試行錯誤しながら新たに生まれたサービスです。今後もいい形で活用していきたいですね(注・21年2月に行われた乃木坂46の9周年ライブも無観客配信で行われ、2日間で販売された視聴チケット数は約24万枚となった)。

 ――SKE48も21年4月に初期からグループを支えてきた松井珠理奈、高柳明音が卒業。人気メンバー卒業の影響が心配されたが、その後、発売された2枚のシングルCDの売り上げは好調だった

 ゼスト・高田社長 横ばいもしくはプラスの数字も出てきています。ただ先日、須田亜香里と古畑奈和が9月いっぱいで卒業することを発表しました。SKEという箱を応援して下さる方が増えている実感はありますが、やはり新しい顔を作ろうと林美澪(13)をシングル2作連続でセンターに据えています。林は雑誌「Seventeen(セブンティーン)」の専属モデルにも決まりました。他にも多面的に新しい顔を作っていこうと現場スタッフは努力しているところです。

 KeyHolder・大出社長 (林美澪は)オーディションで見て、この年(オーディション時は10歳)でこれだけ堂々とできるんだという印象は鮮明に覚えてます。深堀りしたくなるというか、これからどうなっていくのか成長を見ていきたいメンバーですね。

 ――5月28日からはSKE48では約11年ぶり、AKB48グループでも約6年ぶりとなるチームSの新公演「愛を君に、愛を僕に」がスタートした。新公演を始めようとなったきっかけは

 高田 やはり演目を刷新しないとお客さんの興味がどんどん薄れてしまう。劇場の来客数は上限(SKE48劇場は約300人)が決まっていますが、僕らが意識しているのは(応募の)倍率なんですね。1公演について何倍来ているかを見ている中で新しい演目を出していかないと劇場が活性化していかない。SKE48は劇場公演を活動の根幹とするアーティストです。そこに立ち返ったときに新公演をやろうということになった。第一にはお客さんに驚きを与えたかったというところです。

 ――48グループのオリジナル公演としては初めて秋元康総合プロデューサーではなく、小室哲哉氏がプロデューサーとなった

 高田 まず新公演をつくるときに、SKEの良さは思い切り頑張るダンスでもあります。そこで日本のダンスミュージックシーンをけん引してきた小室さんにお願いするのも面白いし、ファンの方も驚くのではないか。予定調和でないところも見せたかった。秋元先生と小室さんが懇意にされているということもありましたし、小室さんは乃木坂さんにも楽曲提供をされている。総合的に判断して秋元先生に相談して小室さんにお願いしました。

 ――高田社長が決めた?

 高田 これはSKEの責任者である田村(謙典)本部長ですね。チームSのプロデューサーは誰にお願いしようか相談する過程で、今回は小室哲哉さんがインパクトあるんじゃないかと。ただ断られる可能性もある。いろいろなプロデューサーさんをリストアップしていましたが、小室さんに快諾していただけて良かったです。
       
☆おおいで ゆうし 2005年三井住友銀行入行。2017年株式会社KeyHolder入社。2022年3月代表取締役社長就任。

☆たかた ひろみつ 1997年エイベックス・ディーディー株式会社(現・エイベックス株式会社)入社。2019年株式会社ゼスト入社。2022年3月代表取締役社長就任。

☆きたがわ けんじ 2011年株式会社ノース・リバーを設立。NMB48の6枚目シングル「北川謙二」のモデルでもある。