俳優の水谷豊(69)監督作で、女優の檀れい(50)が初主演する映画「太陽とボレロ」(6月3日公開)のキックオフイベントが10日、長野県松本市の信毎メディアガーデンスクエアで行われた。

 同作は水谷の第3弾となる監督作で〝クラシックのオーケストラ〟題材に音楽を愛する普通の人々の人間模様を描く。 

 この日のイベントは、撮影ロケ地でもある松本市の中心街に位置する信毎メディアガーデンで実施。〝音楽を愛するアマチュア交響楽団〟を題材にしているということにちなみ、水谷、檀のほかにも松本市の松商学園高校の吹奏楽部も参加。オープニングアクトで劇中でも奏でられるモーリス・ラヴェル作曲の「ボレロ」を堂々と演奏した。

 演奏が終わると、映画初主演を務めた檀と監督を務めた水谷が登壇。ステージの裏で演奏を聴いていた檀は「素晴らしい演奏をありがとうございました。思わず、撮影当時、キャストの皆さんが『ボレロ』を演奏していたのを思い出してしまいました。皆さんの『ボレロ』も若々してフレッシュでステキでした」と笑顔で絶賛すると、水谷も「感無量ですね。まさかこのような素晴らしい歓迎が待っているとは思わなかったので、本当に感激しておりますし、もう東京に帰ってもいいかなと思っています(笑い)」と語り、会場の笑いを誘った。

 トークコーナーでは、撮影から約1年ぶりの松本訪問に檀は「コロナで撮影が1年延期になったのですが、松本の方は協力的で温かくこの映画を見守ってくださいました。この『太陽とボレロ』が無事に撮影できたのも松本の皆さんあってこそだと思います」と感謝。水谷も撮影について、「この作品に必要だったのは、自然が近くにあること。山、川、緑、そして風を感じられる街が良いということで撮影監督と相談し、すぐに松本に決まりました。本当に松本にして良かったと思いました」と振り返った。

 松商学園の生徒からは「キャストの方は映画の中で本当に演奏しているのですか?」という質問が飛ぶと、本作の見どころの一つでもある吹き替えなしの演奏シーンだけに、水谷は「ちょっと疑われているような…(笑い)」と呟き、再び会場からは笑いが。

 水谷は続けて「本当に演奏しています。吹き替えを使わないと事前にキャストに伝えていたので、コロナで撮影が延びた1年、役者の方は皆さん必死に練習してくれました。本当に演奏しているのは映画を見ていただければ分かるはずです」と力を込めた。

 好きなことを続ける秘訣について聞かれると、檀は「まず一番は、好きでい続けることじゃないかなと思います。私も宝塚歌劇団に在籍していたころ、最初は全然ダメダメだったけど、そんなときでも『三度の飯より芝居が好き』と思っていました。好きという気持ちを持っていれば努力もするし、大事なことだと思います」と告白。

 水谷は「好きだからといっても、いつも楽しいかというと、そうではない。苦しいこともあると思います。でも、苦しいからといってそこで辞めてしまったら終わり。苦しいことを乗り越えて、乗り越えた先には必ず素晴らしい世界が待っているので、それを信じて好きなことをしてほしいです」と真剣に答えた。

 最後に、檀は「太陽とボレロはこの松本市で生まれました。生きているといろんな大変なこともありますが、明日への希望を信じて一生懸命に生きている人々の姿をぜひ劇場でご覧いただければと思います」と話せば、水谷は「先ほど監督、脚本と紹介されましたが、少し出演もしています。1年前に撮影に来て、そして1年たった今作品ができあがって、プロモーションで松本に来ています。今日ここに立って改めて思ったのは、本当に松本にふさわしい映画ができたなということです」と自信を見せた。