元大阪府知事の橋下徹弁護士が11日、「めざまし8」(フジテレビ系)に出演し、甲府殺人放火事件で起訴された19歳少年が初めて実名公表された件に言及した。

 今月1日施行の改正少年法で罪を犯した18、19歳の少年は特定少年とされ、殺人や強盗、現住建造物等放火、強制性交などの罪で起訴され起訴された場合、実名が公表され、実名報道が可能となった。

 事件は昨年10月、甲府市で遠藤裕喜被告(19)が同じ高校に通っていた後輩の女子生徒の自宅で、女子生徒の両親をナイフで刺して殺害し、女子生徒の妹をなたで襲い、住宅に火を付け全焼させた。

 橋下氏は実名公表、報道について「いろんな意見があると思いますから、これから報道機関が責任をもって難しい判断を迫られると思います。僕は実名報道派。これはいろいろ議論したうえで、世界各国と比較してみても、18歳で成人にしようと線引きをした以上は、成人と同等の責任を負うべきだ、実名報道も当然だというのが僕の持論なんですけど、一方で少年法の適用もあり、更生の機会を奪うという意見もある」と持論を明かした。

 そのうえで「ただ、更生の話は少年に限らず成人でも必要な話で、今法改正の議論が進んでいて、日本は懲役刑、刑務所に入って働くというのが原則なんですが、これを拘禁刑といってきちっと更生していくプログラムを受けさせようという流れにきています。少年、成人にかからわず更生はしなきゃいけない、あとは実名報道については保護するかどうか。実名を出すと社会的制裁が加わりますが、僕は厳しい意見ですが、成人になった以上は社会的制裁も被ってもらいたいと思いますが、これには反対意見もあります」とも説明した。

 一方、社会学者で作家の古市憲寿氏は「実名報道は相対的には小さい問題だと思っていて、日本ではこれまでも18、19歳は死刑判決の対象にはなったんです。つまり事件を起こした時に実名が報道されなくても18歳1か月で犯行を起こした元少年が死刑判決を受けている事例もあるわけで、実名報道どうこうの前に18歳に対しても日本は死刑を執行してきた。命を奪うという刑罰をしてきた国なので、それと比べたら名前を出すかどうかは些末な問題。むしろ国際標準を考えるんだったら、先進国で死刑制度を維持しているのは米国の一部の州くらいですから、そういうことを含めて日本の刑罰を考えていく必要があるんじゃないかなとは思います」と独自の意見を話した。

 これに橋下氏は「僕は死刑維持派。大きなテーマなので別の機会に古市さんとは議論させてもらいたいと思います」とも話していた。