鹿児島県徳之島町 医師が患者のデマ情報流し裁判に…ネット上に誤った情報書かれたときの対応策は?

2021年11月18日 11時30分

人口2万人程度の徳之島でデマを流されたら、たまったものではない!(東スポWeb)
人口2万人程度の徳之島でデマを流されたら、たまったものではない!(東スポWeb)

 新型コロナウイルスに感染し、鹿児島県徳之島町の徳之島徳洲会病院に入院していた元患者の40代女性が、男性医師に「うちの患者が陽性のまま退院します。拡散してください」などとSNSに書き込まれたとして、医師と病院側に330万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。事実無根の内容を書かれたわけだが、デマを流された時はどう対応すればいいのか?

 SNSに書き込まれたのは今年5月で、女性の名前や勤務先などの情報が拡散した。女性は陽性のまま退院した事実はない。勤務先に中傷電話がかかり、夫や息子にも飛び火した。女性は「デマ情報を流された」として提訴。医師は内容の誤りを認めているという。

 女性の代理人は、インテグラル法律事務所の小沢一仁弁護士。あおり運転の同乗者“ガラケー女”に間違えられてインターネット上で名誉毀損された女性など、多くのネット上の名誉毀損事件に強い弁護士だ。

 小沢弁護士はこう語る。

「医療従事者が、その職務に関して虚偽の情報を流してしまうと、一般的には信用されやすいと思いますから、情報を流された側の被害は大きくなりがちです。しかも人口2万人程度の離島で、コロナに関することとなると、その被害はさらに大きくなると思います。情報は当初、グループLINEで流されたようですが、ある程度限定的なコミュニティーでも情報は拡散しますから、気を付けてほしいと思います」

 医師、病院による名誉毀損事案なら、もっと多額の損害賠償を請求できそうだが…。

「私と相談のうえ、決めました。慰謝料で330万円を超える事件はめったにないので、この金額までは届かないであろうという前提です」(同)

 医師による誹謗中傷、名誉毀損の類似判例や事案などはあるのだろうか?

「知る限りは類似事案はないと思います。本件で被告側は責任論では争っていませんので、もっぱら損害論が問題になる事案です。今後は双方の主張反論と並行して和解協議が進められることになりますから、和解が成立すればそれで事件は終了です。成立しなければ、原告側が勝訴はするのでしょうが、損害額がいくらになるのかが問題になります」(同)

 小沢弁護士は名誉毀損された後の対応をこう強調する。

「本件のような事案は避けようがないと思いますので、同種事案の発生抑止という観点からも、名誉毀損された後の対応が重要ではないかと思います」

 被害者本人には落ち度がなくても、誤った情報がインターネット上に出回ると、他人が拡散したり、尾ひれがついたりして不名誉な情報が広がってしまう。

 かつてネット掲示板で事実無根の誹謗中傷を拡散され、取引先の信用を失ったという男性は「取引先の社員名と私の名前を並べて事実無根の情報を拡散されました。あれから20年以上たちましたが、その時のウソが取引先で代々伝わっているようで、若手まで私のことをいまだに避けていますから、償うことのできない損害ですよ」と明かす。

 ネット上の誤情報は一生消えない――。

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