日本アカデミー賞に世界主流「ネットフリックス」作品ゼロのワケ

2020年01月16日 17時00分

「第43回日本アカデミー賞」授賞式の司会を務める羽鳥慎一(左)と安藤サクラ

 映画界における動画配信サービス「ネットフリックス」の勢いが止まらない。米国の「第92回アカデミー賞」(日本時間2月10日に発表・授賞式)の候補の中で、同社製作の作品は昨年の15部門から大きく数を伸ばし、計24部門で最多ノミネートとなった。世界の映画祭でもネットフリックスは存在感を放っているが、15日、都内で発表された「第43回日本アカデミー賞」の優秀賞では何とゼロ。その理由を探ってみると――。

 映画関係者はこう指摘する。

「ネットフリックスはもはや映画界の主流になりつつあります。すでに世界3大映画祭の一つであるベネチア国際映画祭では一昨年、ネットフリックス作品のメキシコ映画『ローマ』が最高賞の金獅子賞を受賞していますし、今回の米アカデミー賞で最多ノミネートとなっても当然でしょう。カンヌ国際映画祭は(劇場公開しない配信作品を)かたくなに拒否していますが、いずれ認めざるを得なくなるのでは」

 マーティン・スコセッシ監督の「アイリッシュマン」や、スカーレット・ヨハンソン主演の「マリッジ・ストーリー」など映画界の大物たちの関わる映画が、米アカデミー賞の作品賞を含む複数部門にノミネートされている。ノミネート数ではディズニー映画まで退ける勢いだ。

 ネットフリックス作品の評価がここまで高いのは、世界で急増する契約者数を背景に、潤沢な資金を投入しているからに他ならない。

「出演者やスタッフはいい作品を作りたいだけ。そのためのメディアなんて関係ない。お金を出してくれるところで作るに決まっているんです」と同関係者は言う。

 そうしたなか日本では「第43回日本アカデミー賞」の優秀賞発表の記者会見が15日、都内で行われた。グランドプリンスホテル新高輪で3月6日に行われる授賞式の司会をフリーアナ・羽鳥慎一と女優・安藤サクラが務めることと、正賞15部門の各優秀賞と新人賞が発表されたが、こちらはネットフリックス作品は何とゼロ。いったい日本はどういうスタンスなの!?

 そこで、日本アカデミー賞関係者に聞くと「そもそも選考基準ではじかれた」という。

「選考には、東京地区の同一劇場で1日3回、かつ14日以上連続して上映された作品という条件があります。ネットフリックス作品としては『アイリッシュマン』の13日間が最長ですが、これもギリギリ当てはまらない。日本アカデミー賞は劇場公開された作品に重きを置いているので、配信主体の作品は選ばれにくいのです。まあ今後はわかりませんけど」

 前出の映画関係者は「劇場にこだわるあまり優良作品が配信に流れ、結果的に日本映画の衰退につながらなければいいのですが」と心配しているが…。