ゼロから再出発だ。愛知・名古屋アジア大会レスリング女子57キロ級3位決勝戦(3日、稲永スポーツセンター)、2024年パリ五輪53キロ級金メダルの藤波朱理(22=レスター)は、ベトナム選手に10―0でテクニカルスペリオリティー勝ち。銅メダルを死守して意地を見せた。

 公式戦の連勝が「155」でストップした。準決勝ではソン・イルシム(北朝鮮)に敗戦。3位決定戦で勝利を収めるも、初めて表彰台で他国の国歌を聞いた。「2年後に絶対流すのは『君が代』と思いながら聞いていた。悔しいーって…。ちょっと不思議な感覚だった。あの時間は忘れることはない」と声を震わせた。

 今大会は57キロ級に転向後、初の国際大会だった。4キロ重い階級に合わせたトレーニングを行ってきたが、父・俊一コーチは「まだフィジカルが足りない。細く感じた。相手が大きく見えた。サーキットトレーニングで飛んだり跳ねたりすることでスタミナはついたけど、もっと違うトレーニングが必要かな」。今後はウエイトトレーニングなどで体づくりに励む構えだ。

聖火ランナーも務めた藤波朱理
聖火ランナーも務めた藤波朱理

 課題を早めに見つけることができた点は収穫とも言える。俊一コーチは「今回の負けが五輪じゃなくてよかった。言い訳ではなくて、目標は五輪での金メダル、2連覇。ここではっきりと課題が見えた」と強調。メンタル面でも「連勝記録のプレッシャーはあったと思う。やっぱりピリピリしていたし、浮き沈みが激しかったけど、全部なくなったので」とプラスの面を指摘した。

 過去に階級を上げて五輪を連覇した選手はいない。厳しい道のりであることは改めて実感した。藤波は「この負けは負けるべくして負けた。この負けを必ず意味のあるものにして、強くなりたい」。2年後のロサンゼルス五輪では、表彰台の頂で「君が代」を響かせる。