【昭和~平成スター列伝】レスリングの元世界女王でプロボクシングに転向した山本美憂が、15日に後楽園で行われたプロ2戦目の女子フライ級4回戦で田口智香に3回1分51秒TKO勝ちで初勝利を挙げた。同時に男女でも国内最高齢出場記録となる52歳42日という偉大な記録も打ち立てた。
世界選手権3度、全日本選手権8度優勝の金字塔を打ち立てた山本は、小2から元ミュンヘン五輪代表の父・山本郁榮氏の英才教育を受けてレスリングを始めた。1987年の全日本選手権では13歳の史上最年少で初優勝。91年8月に初出場した世界選手権では年齢制限特例で参加し、海外強豪を撃破して17歳で史上最年少優勝の金字塔を樹立している。
「第3回女子レスリング世界選手権が25日、国立代々木競技場第二体育館で行われ、注目の山本美憂(47キロ級)は初出場ながら17歳で史上最年少Vを飾った。『17歳の体力はまだ子供。今のパワーにスピードが備わって選手としてピークを迎えるのは22~23歳くらい。あと5年。全部(優勝を)取れるでしょう』と父親の郁榮コーチは断言する。そうなれば5連覇中の日本選手権はV10、初制覇の世界選手権はV6というとんでもない数字となる。初Vで感涙をこぼした山本も『自分が出る大会は全部取りたい』と強気の姿勢を崩さない。今秋には待望の米国留学を果たす。アリゾナ州の名門サンキスト・クラブで1年間のレスリング修業を積む。世界選手権初制覇から新しい夢は広がっていく。輝かしい未来はまだ始まったばかりだ」(抜粋)
家系に加え「天才少女」と呼ばれた才能と美しいルックスを誇り、同大会には全民放テレビ局を含む50社以上のマスコミが取材に訪れた。注目度が低かった黎明期の同競技に世間の目を向けさせた「立役者」でもあった。
その後も優勝を重ねたが95年に一度、引退。98年に復帰して全日本選手権8度目の優勝を飾るも翌年に再度引退。アテネ、ロンドン、リオと五輪前には不死鳥のように復帰と引退を繰り返すも、無念ながら五輪出場の夢は果たせなかった。
2016年からは格闘技イベント「RIZIN.」に参戦。女子部門の中心選手となるも14戦のキャリアを積んだ後、23年大みそか大会で引退した。そして今年3月にはカナダ国籍でボクシングデビュー。オーストラリアでのプロ初戦は敗退したが、今回は元世界3階級制覇王者の長谷川穂積氏の指導を受けた結果、日本で歓喜のプロ初勝利を挙げた。山本は「ずっとボクシング。チームで行けるところまで行きたい」と歓喜の表情で語った。
レスリング時代を含めれば実に約45年も格闘技一筋の人生を歩んできたことは前人未到の大記録であり女子アスリートとしては奇跡的な存在である。ボクシングでも「世界女王」の称号をつかんでシニア世代に勇気を与えてほしい。












