25日のNHK連続テレビ小説「風、薫る」最終回(第130回)は、主人公の1人、りん(見上愛)が看護教本を刊行し、もう1人の主人公である直美(上坂樹里)とともに現在にワープしたかのような病院シーンで幕を閉じた。

 りん執筆の「實践看護法」が後進の道しるべとなり、21世紀に至るまで受け継がれてきたことを物語る。一方で、りんは「やっぱり『看護とは何か』ってちゃんと書けばよかったかなぁ」と漏らす。「分からないことは分からないままが誠実だって、書かなかったのはりんでしょ?」と直美がフォロー。直美のアドバイスを受けた同書は、徹底した実用書。「看護の知識が全部詰まった辞書みたい」とツヤ(東野絢香)は言う。

 24日の129回で、りんと直美は「看護とは何か」について語り合っていた。りんは「今そこにあるもの」「患者さんが困っていて、看護婦が必要だと思えばそれは歌でも何でもすべて看護なんだと思う」「答えは、いま目の前にいる患者さんの中にしかない」との考えを示す。直美に「それって、看護って分からないって言ってるのと同じじゃない?」と返されると、「分からないものは分からないままが誠実じゃない」。話はそんな調子で終わった。

 この会話が想起させるのは5月29日の第45回。看護婦見習いで看病婦たちとの関係に苦労していたりんが、その1人であるフユ(猫背椿)から謎めいた問答を仕掛けられた。「あんた、旦那は?」と聞かれて結婚歴を明かすと、「じゃあ、分かるか」とフユ。「この仕事はねぇ、家事だと思ってやらないと間違えるよ」。りんが「看護は命にかかわる仕事で、家事とは…」と困惑している間に、フユはいなくなった。

 フユは、医学的な教育を受けていない看病婦の仕事について話したとみられるが、りんに向けても含みを残したフシがある。最終回目前で「看護とは」で発した「今そこにあるもの」「必要だと思えば何でもすべて」という言葉は、フユのたとえに通じるものを感じさせる。

 ただ、直美の指摘を受けたりんは「分からないこと」として結論を留保した形で終わった。とはいえ〝オペ看〟として優れた技量を見せていたフユは、看護の真髄を知っていたのかもしれない。