【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。記録的な大雪で25日、札幌へ向かう電車やバスが運休し北海道の新千歳空港が一時孤立状態になりました。約7000人が空港内で一夜を過ごしたそうです。まさに予測不能だったことでしょう。やはり自然の猛威は恐ろしいですね。雪国にお住まいの方が多いとはいえ、体は疲労困憊かと思います。どうぞご自愛ください。

 さて、そんなニュースに関連し、今週はアドリブ満載、あえて予定調和を叩き壊した、予測不能な映画「有吉の壁 劇場版アドリブ大河『面白城の18人』」(今月16日公開)を紹介します。

 今作は日本テレビ系で放送中のバラエティー「有吉の壁」の劇場版です。伝説の猿の師匠に刀を教わった剣士と、団子の卸業者の女性が主役なんですが、それ以外の展開が一つも決まっていない。出演する芸人たちがアドリブで物語を紡ぎ、監督を務める有吉弘行が先に収録したエンディングに問題なくたどり着けるか――というストーリーです。

 今作のポイントは、何といっても実験映画というところ。通常の映画はどんなものでも脚本や配役やストーリー設定が固められているものなんですよ。台本通りにお芝居をして撮影することが映画の常識なんです。ただ、今作はそこが白紙。有吉監督がいくつかの場面だけを手掛けて、後はアドリブで埋めていく。ある意味ライブの即興劇を記録した映画だと思いました。映画はコケるわけにはいかないので計画的なものという固定概念があるんですけど、その常識を疑う逆説的な問いかけになるのが本作だと感じましたね。

 その一方で、アドリブが作る予測不能な展開自体は、かなり昔からある手法なんですよ。1960年代から見られるメソッドアクティングと呼ばれる演技法で、リハーサルと同じ芝居をしなくても良い、監督の操り人形でなくても良いという考え方を持って演技をするんです。ジェームズ・ディーンやマリリン・モンローなどがよく取り入れていましたね。映画のプロから見ると、有吉監督は知ってか知らずかこのメソッドアクティングを取り入れていたんです。しかも、台本のほんの一部分ではなく、映画のほぼ全域にわたってですからね。かなり新しい化学反応を生んだ映画になりました。

 果たしてこれは映画なのかと言われると、映画のフリをしたドタバタバラエティーだと思うんですが、この実験的な手法は一見の価値ありだと感じました。ぜひ映画館でご覧ください。