石川智晶「アンインストール」

 アニソンの中には、そのかいわいでは絶対的な名曲として高い人気や評価を得ている一方で、アニメをあまり見ない層にはあまり認知されていないという曲が結構ある。例を挙げればLia「鳥の詩」や岡崎律子「Forフルーツバスケット」などはもはや殿堂入り級なのだけれど、一般的なヒット曲と比べたら一度も聴いたことがないという人も多そうだ。

 そもそもこのコラムはアニソン好きにとっては「なんで今さら?」な名曲を、アニメと縁遠い方々に紹介するのが趣旨。そういう意味では、今回取り上げる石川智晶の「アンインストール」はまさにそんな一曲。2007年放送のアニメ「ぼくらの」(原作・鬼頭莫宏)のオープニングテーマで、当時オリコン最高位は13位だったというからまずまずのヒット曲と言えるかもしれない。

 同作品は近未来の日本を舞台にしたSFロボットアニメで、少年少女たちがパイロットとして巨大ロボットを操縦し、地球を襲う敵と戦うというストーリー。しかし、内容は極めてシリアス。ロボットはパイロットの生命力を使って動くため、戦いに勝っても操縦する少年少女は死亡してしまうという重い設定なのだ。

 主題歌「アンインストール」は、そんな少年少女の心情を表現した胸に迫る一曲。ひたすらに切ないメロディー(特にサビ)と歌詞からは、もちろん戦うことへの決意も伝わってくるが、それは力強いものではなく悲愴な覚悟に近い。

 フルサイズで聴くと、繰り返される“アンインストール”というフレーズは、全部で15回出てくる。この15という数字が、劇中の何の数と一致しているのかに気づくと、もう冷静には聴いていられなくなるだろう。詞・曲ともに石川智晶自身が手掛けているが、彼女の真摯な歌声が「アンインストール」という曲の切実さを際立たせていることは間違いない。やはり必聴の名曲だ。