9日のNHK連続テレビ小説「あんぱん」第73回で、新聞社に入った嵩(北村匠海)が平手打ちを食らうシーンがあった。軍隊で理不尽な暴力を受けた嵩が、今度は別の理不尽に自らの顔で立ち向かった姿は、自身の顔を食べさせるアンパンマンを連想させた。

 人気漫画「アンパンマン」の作者やなせたかしさんの妻の暢さん(いずれも故人)をモデルにしたヒロイン・のぶを今田美桜が演じる同ドラマ。のぶの後を追うように高知新報に入社した嵩は、人事異動でのぶと同じ職場に。発行する雑誌に広告を出した質店に2人で掲載料を請求に行くと、コワモテ風の店員が応対した。

 店員は難癖つけて支払いを拒み、反論するのぶに「なんな、女のくせにその態度は!」と激高して手を上げる。隣にいた嵩が顔を寄せ、左ほほで殴打を受け止めた。「気がすむまでどうぞ」。そんな嵩は、帰社後も「僕の顔はどうでもいいんです」と平然としていた。

 嵩は陸軍時代、転属先の小倉連隊で先輩兵から理不尽な殴打の嵐を浴びせられていた。Xには「さすが軍隊帰り嵩、平手打ちされても微塵も体幹ブレなかった」との指摘も。「上官に殴られても耐えてきた嵩にはビンタ受けるなんて余裕だよな」「軍隊の時に喰らった、シバキより、屁でもないやろうな!」。凄みさえ感じさせた態度には「最高にかっこよかった!」と称賛も寄せられた。

 ドラマ初回放送などで聞かれた、嵩の「正義は逆転する」という時代・社会観は物語の底流をなす。戦争でそれを感じ、今回の広告料請求では、のぶが現代ならセクハラものの「女のくせに」と侮蔑され、暴力を振るわれかかった。いわば価値観が〝逆転〟する前の時代にあって、嵩は自らの顔でのぶを守った。

 Xには「『僕の顔はどうでもいいんだ』と言ったところはアンパンマンを想像しました」「アンパンマンかと思った嵩のセリフ」などと今後の物語で〝主役〟となりそうなキャラクターへの言及もあった。