歌手の由紀さおり(78)が、卵巣がんの闘病から約1年ぶりにコンサートの舞台に立った市川由紀乃(49)の復帰舞台裏を明かした。由紀は市川から〝命の恩人〟と感謝されているという。半世紀以上、音楽業界を走り続けた大ベテラン歌手が後輩に授けた歌手の極意とは――。

 市川は卵巣がんの治療のため昨年6月から活動を休止。抗がん剤治療などを乗り越えて今月19日、埼玉県・サンシティ越谷市民ホールで、闘病後初の単独コンサート「ただいま!」を開催した。

 市川の闘病生活に大きく関わってきたのが由紀だ。体調不良を訴える市川に対し、由紀は検査を受けるように強く勧めたのだ。

「自分の身体に不安があってお医者さんに行くのは怖い。けれど『歌手というのはこの身で歌ってこその商売なんだからさ。だから今日ちょっと調子悪いなっていう時に朝一番に見てもらう先生を周りにおいておかないとだめよ』ということをこんこんと言わせていただきました」と苦笑いしながら検査を勧めた経緯を明かした。

 検査に行ったことですぐに病気が見つかった。さらに闘病中にはメールで激励したことから、市川は由紀を「命の恩人」と呼ぶようになった。

 市川の復帰後初のライブに由紀はサプライズ出演し、見届けた。「第一声を聞いて素晴らしいスタートを切れていると思った」といい、観客の拍手や声援、照明のあかりなどを全身で受け止めて歌っている姿に復活を確信したという。

由紀さおりと対面し号泣する市川由紀乃
由紀さおりと対面し号泣する市川由紀乃

 市川に検診を強く勧めたのも「歌手は歌に責任感を持つことと共に仕事をする安心感を運営側に持ってもらうことが大切」という哲学があるからだ。体調を崩して迷惑をかけないよう、人一倍心掛けている。

 不調を感じたらすぐに医者にかかるとのことで、「私なんてお財布の中は診察券だらけなんだから。目もそうだし、ノドもそうだし、肌もそうだし、足のクリニックもあるし、ありとあらゆるところの方々に助けてもらって今を生きている」と笑いながら明かした。

 身体に最大限の注意を払い第一線で活躍し続ける由紀は、5月28日にミニアルバム「SHOW(昭)TIME!」を発売。昭和の名曲「青い山脈」などを最新アレンジで歌っている。童謡歌手としてキャリアをスタートし、銀座のキャバレーでジャズと出会い、さまざまな音楽と関わってきた由紀の「子供の頃歌っていた歌を今の私が歌ったら」という思いが詰まった一作となっている。

 8月11日にはディナーショー「インペリアル ジャズ 2025」(東京・帝国ホテル)に出演し、アルバムに収録されている曲も歌唱する予定だ。年齢を重ねてなお進化し続ける由紀から目が離せない。