“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は怪談師としても活動している、珍しい女性ピン芸人にじっくりと話を聞いてみた――。

【プロフィル】
 芸名‥森林子(もりりんこ)
 所属‥フリー
 生年月日‥1991年2月4日

 怪談師として活動する彼女は、お笑いのネタも怪談の漫談。「怖くて面白い」という2つの感情を揺さぶってきます。おとなしくて自分から話しかけたりしないので存在感はあまりありませんが、そこがまた怪談の説得力を増しています。そんな彼女に話を聞きました。

 ――デビューは

「アマチュアとしては2008年8月。14年4月から事務所に所属してデビューしました」

 ――出身地は

「東京都の奥地。うっそうとした山林に囲まれ、時折どこか現実でありながら現実でないような空気が漂う時があります」

 ――お笑いを始めたきっかけは

「高3の夏、『M―1甲子園』という漫才の大会に中学の同級生と一緒に出たのがきっかけ。その数週間後にピンでも出られる高校生の大会があることを知り、ピンネタもやり始めました」

 ――怪談を始めたきっかけは

「2年ほど前からオカルトをテーマにしたお笑いライブに出演しており、そこで1人1話、怪談を話すコーナーがあったため、見よう見まねで始めました。ただ私自身霊感が全くなく、心霊などの怖い話が子供の頃からとても苦手なので、実体験に基づく『怖そうで怖くない話』の怪談風漫談をやるようになりました。除霊のためにも笑っていただけると全世界が助かります」

 ――最近の怖い話は

「先日、家で寝ていたら金縛りに遭い、体の上に顔が白くて唇だけ異様に赤い女の人が乗っている夢を見たのですが、久しぶりに人間の重みを感じて感慨深くなってしまい、目が覚めた後、ちょっと泣いてしまいました」

 ――ネタの作り方は

「漫談は基本的に実体験。コントはいろんな場所に実在する、いろんな人の生活を想像します。『この人はなぜこんなにイライラしているのだろう』『どんな家庭環境なのだろう』『何をしている時が楽しいのだろう』など、勝手に想像してネタにしています。だから最近、生霊に取りつかれて肩が痛むのかもしれません。先日は寒い日にコタツで寝ていたらギックリ首になりました」

 ――芸人としての目標

「いつでもどこでも面白い芸人になりたい。重い空気の中でも必ずウケている先輩を見て、かっこいいと思ったので、そうなりたいです。また私はとても暗い人間なので、『明るく楽しく』を楽しめない人向けの、無理なく生活に取り込める低刺激なお笑いなども目指していきたい」

 ――「森林茶屋」というユニットでも活動されていますが、ピンとどちらの熱量が高い?

「生涯を通してお笑いをやりたいので、ピンもコンビもオカルトも、すべて同じぐらいの熱量で取り組んでいると思います。どんな場所でもウケたらうれしいし、スベりたくないという恐怖心も根底にある。スベった日の帰り道にガラスに映った自分の顔を見たら、ホラー映画の殺人鬼みたいな様相でゾッとしました」

 ――物静かですが、バカ笑いすることは

「私も人間です。インターネットでカバのまきふん動画などを見るとバカ笑いしてしまいます」

 ――影響されたお笑い番組、芸人は

「子供の頃は『爆笑オンエアバトル』『M―1グランプリ』など。ますだおかださんや中川家さんなどが好きでした。いろんな芸人さんの好きなネタをカセットテープに録音して文字起こしをしたりしていました。その経験を生かして先日、文字起こしのバイトに応募したが、落ちました」

 おとなしいキャラクターとは裏腹にお笑いに意欲的で、どんなお笑いライブでも誘われたら出演する。何にでも取り組む誠実さにも好感が持てて、もっと評価されるべき芸人さんだと思います。

 ☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。