“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回はいつもと真逆の、ずっと“馬鹿売れ”し続けている、“女芸人界のレジェンド”とも言うべき女性コンビを紹介する――。

 いつまでも漫才をやり続けられる。世間から求められ続ける。仕事としてやれている…。この3つは芸人にとっての理想の形ではありますが、それをずっと続けている芸人は意外と多くない。そういった意味では、結成41年になるこのコンビは“芸人の理想”を体現しているのではないでしょうか。

【プロフィル】
 コンビ名‥ハイヒール
 所属‥吉本興業
 養成所‥NSC大阪校1期生
 結成‥1982年
 立ち位置右‥モモコ
 生年月日‥1964年2月21日
 最終学歴‥大阪市第二工芸高等学校中退
 立ち位置左‥リンゴ
 生年月日‥1961年8月9日
 最終学歴‥京都産業大学経営学部卒業

 漫才の終わり方がリンゴさんの「もうええわ!」から、2人そろって「どうもありがとっ!」と振りを付けて言うスタイル。もうすっかりおなじみです。上手(右側)の立ち位置のモモコさんが下手(左側)の方を見ながら漫才をするのに比べ、下手に立つリンゴさんもモモコさんと反対の下手を向いてしゃべる印象があります。

 デビュー当時は、女子大生と元スケバンというキャラクターで漫才をされておりました。当時は女子大生の漫才師というのがまだ珍しく、元スケバンと対抗するキャラクターでもありました。元スケバンのモモコさんが巻き舌でまくしたてるようにしゃべりまくるのに対し、ツッコミのリンゴさんは聞き役という印象がありますが、実はしゃべってる量は同じぐらいなのです。

結成3年目のハイヒール。リンゴが23歳、モモコは21歳だった
結成3年目のハイヒール。リンゴが23歳、モモコは21歳だった

 それなのにモモコさんが目立つようになっているのは、漫才の冒頭、話の本題がモモコさん発信のことが多いのと、しゃべる時の身ぶり手ぶりの動きがリンゴさんに比べてモモコさんの方が圧倒的に多いためだと思います。

 センターマイクにたどり着くまでの手の動きすらも、モモコさんの方が多く動いていることが多い。漫才中、リンゴさんは両手を前に組んで話している時間もあるので、モモコさんが目立って見えるのです。声の高さも、リンゴさんに比べるとモモコさんの方が高く、耳に届きやすいので、余計にモモコさんの存在感が際立つのだと思います。

 また漫才によってはリンゴさんがボケに回り、モモコさんがツッコむ場合もある。現在は2人とも結婚していて、モモコさんは子供が3人いるので家族の話など、井戸端会議のような議題で漫才を運ぶことが多い。それでコンスタントに笑いを起こすのは、2人とも話術にたけているからだと思います。

 圧倒的に売れたダウンタウンさんやトミーズさんが同期にいる中、当時はまだ珍しかった女性コンビとしてずっと漫才をやり続けた。テレビにもずっと出演して売れ続けているのに漫才を大事にしているのは“隠れた実力者”という感じがして非常にかっこいいです。

 ハイヒールさんの特長は、漫才のスタイルに信念があることだと思います。リンゴさんが短パン、モモコさんが膝上のスカートで漫才をすることが多く、2人とも膝が見えるように衣装を着こなして漫才をしているのも信念の一つではないでしょうか。

 リンゴさんは最近、「THE W」や「ABCお笑いグランプリ」の決勝審査員を務めたり、「女芸人大祭り」という女性のみのライブを開催されてもいる。リンゴさんのトークから始まるこのライブは、これから期待される若手をいち早く見られるライブとして注目されています。

 リンゴさんは「リンゴのブカツ」というユーチューブチャンネルもされていて、ここでも勢いのある若手芸人とトークをされている。モモコさんもユーチューブチャンネル「モモコ新聞」で、長女にカメラマンをしてもらったり子供に出演してもらい、さらに自ら白髪染めをするなどプライベートを披露している。ベテランになっても2人とも精力的に活動されているので、これからも楽しませてもらえると思います。

 ☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。