松野博一官房長官は12日の記者会見で、史上初となる将棋の八大タイトル独占を成し遂げた藤井聡太八冠(21)への内閣総理大臣顕彰授与を政府内で検討していることを明らかにした。「顕彰式について、11月中旬に授与することを調整しています」と語った。

 11日の第71期王座戦5番勝負第4局で永瀬拓矢王座(31)を破って通算3勝1敗とし、タイトル奪取と全八冠独占を決めた藤井八冠。松野氏は「藤井氏の功績は将棋の普及・振興を通じ、我が国文化の向上と発展に大きく貢献しているものと考えています。これまでの授与実績等を踏まえつつ、内閣総理大臣顕彰の授与について政府内で調整を進めているところ」と藤井八冠の表彰に関する質問に答えた。

 内閣府ウェブサイトによると同顕彰は「国家、社会に貢献し顕著な功績のあったものについてこれを顕彰することを目的とする」とされている。対象は「国の重要施策の遂行に貢献したもの」など6分野にわたり、藤井八冠は「学術及び文化の振興に貢献したもの」に該当するとみられる。

 近年では茶道家元・千玄室氏やゴルフのマスターズを日本選手で初めて制した松山英樹が表彰されている。将棋、囲碁でともに七冠を達成した羽生善治九段、井山裕太現二冠も授与されており、2人は後に国民栄誉賞を同時受賞した。

 同顕彰は五輪連覇などスポーツで快挙を達成した選手や功労者にも与えられている。「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった者について、その栄誉を讃えることを目的として表彰する」国民栄誉賞とは趣旨が異なるが、その違いが分かりにくい例もある。

 2000年のシドニー五輪で、マラソンの高橋尚子が日本女子初の金メダルを獲得し、柔道女子で田村(現姓谷)亮子が3大会目の出場で初の金に輝いた。ともに「広く国民に敬愛され」て業績もあり、「どちらが国民栄誉賞か?」と論争も呼んだ。結局、「日本女子初」「国民に深い感動と勇気を与えた」高橋が国民栄誉賞、「数々の優秀な成績を収めスポーツの振興に尽くした」田村が内閣総理大臣顕彰。高橋の6日後に表彰された田村については、実質〝準国民栄誉賞〟のような印象もあった。