新時代を迎えた人気アイドルグループ「乃木坂46」に激震が走った。21日のラジオ番組内でメンバーが、ライブ演出を担うSEIGO氏の過激な言動を〝告発〟し、同氏が辞任にまで至ったからだ。他グループにまで波及した大騒動の舞台裏を追跡した。

〝最後の1期生〟齋藤飛鳥が18日に卒業し、1、2期生が全員卒業。3、4、5期生が担う新時代に投入したタイミングで、思わぬ事態となった。

 ことの発端は21日放送のNHKラジオ第1「らじらー!サンデー」。メンバーの早川聖来(22)が、ライブの演出家・SEIGO氏について言及した際「超ドSなんですよ。『死ね』とか『ブス』とか、『お前1人いなくてもいい』とか言われるんです」と発言したのだ。

 さらに、衝撃的だったのは、「みんなを心配してそうやって言ってくれてるんですけど」と前置きしつつも「今回のライブのリハで(掛橋)沙耶香が事故ったのは『お前らのせいだ』とか『自業自得だ』とかいろいろと言われて」と〝告発〟したこと。掛橋といえば、昨年8月の全国ツアー東京公演中に転落。顔面骨折など大けがを負い、現在も療養中だ。ファンは激怒し、運営サイドに事態の説明や解任を求める署名活動に発展した。

 グループは23日に公式サイトでSEIGO氏やメンバー、スタッフらに聞き取り調査を行った際に「言動や指導において、一部行き過ぎた部分があったことを確認致しました」と報告。同氏は演出家を辞任することを発表し、〝新世代〟で迎える7月からスタートする真夏の全国ツアーは別の演出家を迎えることになった。

 SEIGO氏は、1990年代から演出家、振付師として活動し、これまでジャニーズ、AKB48、=LOVE(イコールラブ)ら多くのグループを担当。アイドル界トップクラスの演出家ともいわれていた。騒動の影響は大きく、24日には=LOVE、≠ME(ノットイコールミー)の2つのグループも演出家の変更を発表した。

 とはいえ、舞台裏では、メンバーの間でも〝賛否両論〟のやり取りが繰り広げられていたという。

「レッスンやリハーサルから本番さながらの真剣さを求め、一瞬でも気を許すと『ブスな顔をするな!』と怒号が飛び交い、〝またブスな顔になっている〟という意味合いで『(また)ブス!』と厳しく指摘してきた。ただ、納得いくパフォーマンスができると、『素晴らしい!』と涙を流して喜ぶことも。SEIGOさんを怖がるメンバーは多く、(辞任したことを)安堵する子もいるが、信頼するメンバーからは残念がる声も出ている」(関係者)

 大所帯グループは、メンバーの家庭環境や教育方針もさまざま。世代間ギャップで統率が取りづらく、スタッフサイドも〝引き締め役〟としてSEIGO氏に頼っていた面もあったという。

 もっとも、ファンが問題視しているのは掛橋に関する発言だ。

 ラジオで訴えた早川は、掛橋の同期。だからこそ転落事故の責任の所在をめぐるSEIGO氏の発言が許せなかったのだろう。

 ただ、グループ公式サイトでは「ステージ転落事故を引用して『掛橋沙耶香が落ちたのはお前らのせい』という発言を行った、という点につきましては、事実とは異なっておりました」と発表。SEIGO氏も声明で「乃木坂メンバーに対して「『落下事故に対するメンバーへの責任転嫁をする発言』は一切しておりません」と否定している。

 さらに、SEIGO氏は転落事故翌日に、全メンバーに「僕の責任」と謝罪したと告白。「早川聖来さん本人は、当時休業中でライブ会場にはいなかったため、僕の気持ちを伝えきれていなかったことが、今回の件につながってしまったように思います」とし「ただ、メンバーを誤解させてしまったこと自体に私の責任があると感じており、この点についてもお詫び申し上げます」と謝罪。関係者も「〝また事故が起きないように、レッスンやリハから気を抜かずに〟というニュアンスで伝えたかったようです」と指摘するが…。

 意を決して訴えた早川の精神状態も心配される。昨今、ハラスメント問題が噴出しているが、アイドル界もさらなる健全化に向けた取り組みが必要になりそうだ。