【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。米中間で起きた気球騒動が話題になっています。発端は、今月1日に米・モンタナ州の上空で白い球体が飛行しているのが確認され、その正体が中国の偵察用気球だとして4日にバイデン大統領の指示によって撃墜されたことでした。

 中国は「過剰な反応」と米国の対応に強く反発。両国間に緊張が走っています。その後も米国は、アラスカやヒューロン湖上空などで計3つの飛行物体を撃墜したことを発表。しかし、これらは民間や研究目的のものである可能性が高いとして、過剰反応という批判もあるようです。

 今回は「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」(2016年)を紹介します。タイトル通り“空にある目”で、ドローンを使用した現代の戦争を描いています。ヘレン・ミレン演じる英軍の諜報機関のキャサリン・パウエル大佐は偵察用ドローンの情報をもとに、ケニアで計画された自爆テロの情報をつかみます。大佐は、テロリストが潜伏するケニアから遠く離れたロンドンにいる。そこから米国と合同軍事作戦を指揮するんです。どうやって情報を得るか。テロリストのアジト内に飛ばした、小鳥や虫の形をした小型カメラからです。7年前の映画ですから技術はさらに進歩しているでしょう。

 ドローンの技術とともに描かれているのが決断の難しさ。大佐はテロリストへのミサイル攻撃を命じますが、アジト近くに少女がいることが判明します。大佐は上層部に判断を仰ぐけど、「民間人を犠牲にしてまでもテロリストを殺すのか」との思いから指示が下されないんですよ。

 しかし、ここで殺さないとテロによってさらなる被害者が出てしまう。自分も判断を迫られるような気持ちになり息が苦しくなります。結末はぜひ、本編でご覧ください。

 日本でも謎の気球がたびたび目撃されています。20年に宮城県上空に気球が目撃された際、防衛相だった河野太郎さんが「気球が日本に戻ってくる可能性はないか?」との質問に対して「気球に聞いてください」と答えた発言が蒸し返されました。

 日本も自衛隊の武器使用のルールを見直す方向で調整していますが、米国に追随した格好ですよね。改めて日本の危機管理の甘さと決断の重さを考えさせられました。

 ☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。