【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。10代の女性を洗脳状態にして性的暴行を加えようとしたとして、警視庁は7日に準強制性交等未遂の疑いで元占い師の渋谷博仁容疑者と元妻で飲食店店員の渋谷千秋容疑者を逮捕しました。
 博仁容疑者は女性に対して「あなたは宇宙人に食べられる。死を回避するには性交するしかない」と脅し、性的関係を要求。この脅し文句にも驚きですが、博仁容疑者の一夫多妻生活にも注目が集まっていますよね。

 事件の舞台となった家で千秋容疑者を含む40~70代の女性9人と子供3人の計13人が暮らす一夫多妻の生活をしていました。博仁容疑者は2006年にも11人の女性たちと集団生活をし、20代の女性に対して集団生活を強要し、逮捕されています。つまり前回の逮捕後も同じような生活を続け、再犯してしまったワケです。改めて洗脳の怖さを思い知らされる事件でもあります。

 そこで今回は「一夫多妻カルト教団を脱出せよ」(2014年)を紹介します。同作は、米国でも大きな問題となっているユタ州の複婚カルト教団・キングストーン一族から脱出した3人の姉妹が教団内に残っている家族の脱出を手助けするドキュメンタリーです。

 キングストーン一族の会員数は6000人を超え、そのほとんどが血縁者。教団を運営している7人の兄弟にはなんと90人の妻と850人の子供がいます。しかも兄の娘たちが弟の妻になっていたりするんです。

 なぜ、このようなことが行われるかというと教団内で「我々はキリスト直系の子孫で選ばれた民だ」と教えられ、育てられているからです。他の一族の血が入るのを極端に恐れ、結果的に近親者同士で結婚を繰り返す。

 生まれた子供たちは学校にも行かせてもらえず、きちんとした教育を受けさせてもらえない。なので「外の世界に行くと地獄に落ちる」という言葉を信じるし、生まれた時から洗脳状態にあります。そうした中でも3人の姉妹のように「変だぞ」って気付くこともある。彼女たちは残った家族の脱出の手助けをしようとするんですが、中には外の世界に逃げる勇気がなくて脱出をためらう人もいる。こうした心理が働くことも理解しなければ真の救出は難しいかもしれません。

 この教団が恐ろしいところは事業とか銀行を独自で運営して地域社会になじみながらコミュニティーを形成しているところです。今回は事件化しましたが、家庭内のことになると外部の介入が難しいだけに、考えさせられる一本と言えます。

 ☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。