【今週の秘蔵フォト】化粧品のCMに出演したアイドルは数えきれない。ややバタくさいながらも庶民的なキュートさと秀逸なCMソングで一気にブレークし、当時の若者たちのハートをわしづかみにしたのが松本ちえこだ。

 1974年4月「ベスト30歌謡曲」公開放送のスタジオでスカウトされて、同年「ボーイフレンド」でデビュー。ヒット曲に恵まれず、わずかなブランクもあったが75年に資生堂シャンプーのCMに起用されるや一気に人気が爆発する。浴槽で「1、2、3…クリアー!」とカウントして横にフェードアウトするCMは衝撃的だった。

新宿の歩行者天国で
新宿の歩行者天国で

 当時16歳。3本目のCMに出演して人気は絶頂期を迎えていた。76年2月27日付本紙では松本のインタビューが掲載されている。ヒット曲はないが、出演していたCMの「バスボンのうた」が話題となる不思議な現象も起きていた。「♪まんまる顔の女のコは いいツマになれるって 私ってなれそう?ね、バスボン」と歌う笑顔に一発でKOされた方も多いはずだ。

「本当は美容師になりたかったの。人の髪とか顔とかをいじるのが大好きだから。妹の髪の毛なんかもチエコが自分でやっちゃう」と語る。CMに出るようになってからはファンレターが一気に増えた。「僕の夢」という手紙を送ってきた少年もいて「白い教会でチエコと結婚式を挙げるっていうの。でもそんな夢捨ててくださいなんて書けないでしょ。だから頑張ってくださいって。うれしいかって? ウン!」と屈託なく答えた。

 同年5月にはようやく「恋人試験」がオリコン5位を記録し、初のヒット曲となる。「♪65点のひとが好き」というキメのフレーズは今でも忘れがたい。結局はこれが最大のヒット曲となった。

 79年にはヌードグラビアを発表。その後は女優活動も続けていたが、晩年は芸能界を離れていた。そして19年11月17日に大動脈瘤破裂のために亡くなってしまう。まだ60歳の早過ぎる死だった。だからこそあの愛きょうのある笑顔は、永遠にファンの胸に刻み込まれるに違いない。
(敬称略)