東京都議選(6月23日告示、7月2日投開票)にホリエモンこと実業家の堀江貴文氏(44)の呼びかけで設立された新党が参戦する。元議員秘書の飯田佳宏氏(44)が代表を務める「地方議員ゼロの会」が9日、東京・渋谷の自由報道協会で結党報告と都議選への候補者擁立を発表した。地方議員の相次ぐ不祥事に決起した“ホリエモン新党”は、仰天公約で旋風を起こせるか――。

「地方議員ゼロの会」は堀江氏が主宰するオンラインのコミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校」の有志メンバー23人が発起人となり、昨年9月から結党に向けた準備を進めてきた。党是は「報酬ゼロ、議員ゼロ、直接民主制システムの構築」。

 報酬&議員ゼロとは、どういうことなのか? 飯田代表は「昔の地方議員は地域事情に精通していたが、今は素人議員が有権者から地域課題を教わっている状態の上、既得権益をバックにしているため規制緩和も進まない。地域の声を行政に届けるなら公聴会で十分。オマエらはいらない!」と地方議員を痛烈に批判。

 都議の場合は年収約1700万円で別に政務活動費が約600万円あり、高額報酬を目当てにするやからも少なくない。さらに、兵庫県での“号泣議員”や富山市議らのように政務活動費の不正受給で蓄財や散財に走り、有権者の怒りはマックスに達していた。

 ゼロにするのは“専業議員”で、本職を持つ“兼業議員”を増やしたいという。

「『地方議員ゼロの会』所属議員は本業を持っていて現場に近い感覚の人たち。議員報酬はゼロで議会出席日は日当を支払う。議会活動はしっかりやるが、後援会活動や冠婚葬祭への出席、業界団体の活動など“政治屋”の仕事はしなくていい。議員報酬は党の収入として、ネット投票など直接民主制システム構築の研究費として活用する」(飯田代表)

 現時点で都議選への擁立が決まっている候補者は4人で、職業もさまざまだ。飯田代表は港区選挙区、南多摩選挙区から出馬予定の伊沢浩美氏(52)はねこカフェ代表、新宿区選挙区で擁立予定の菅澤治希氏(33)はフリーデザイナー、豊島区選挙区から立候補予定の柏井茂達氏(33)は大手通信企業社員というように皆、本業を持っている。

 気になるのは“言いだしっぺ”の堀江氏だ。過去には2005年の総選挙に広島6区から出馬して落選。10年の参院選ではタリーズコーヒージャパン創業者の松田公太氏(48)、14年の都知事選では実業家の家入一真氏(38)を応援するなど、根っからの“お祭り男”でもある。

 再び政界にチャレンジする布石とも勘ぐりたくなるが、党役員には就任しておらず、会に所属もしていないため、出馬の予定もないという。ただ、ツイッター等では「地方議員ゼロの会」をアピールするため“ホリエモン新党”のインパクトは絶大だ。

 堀江氏は応援には入るとみられ、都民ファーストの会の特別顧問を務める小池百合子東京都知事(64)との街頭対決が実現する可能性がある。
 飯田代表は「(立候補者)5人以上の区には擁立していきたい」と、さらなる候補者擁立に向けて準備を進めている。