菅義偉首相は23日、新型コロナウイルス感染症対策本部会合を官邸で開き、東京、京都、大阪、兵庫の4都府県に対し改正特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令を決定した。期間は25日から5月11日まで。発令は昨年4月と今年1月に続き3回目となる。宣言対象地域では、酒類やカラオケを提供する飲食店に休業を要請する。そんな中、政府の対応に振り回される“飲み屋”の怒りの声を集めた。

 4都府県では酒類を提供しない飲食店の営業も午後8時までとする。居酒屋なども酒類やカラオケを提供しない場合は午後8時まで営業できる。休業や時短要請に応じない店には知事が命令を出すことができ、従わなければ罰則がある。

 外食大手ワタミが対象地域にある居酒屋業態の直営店78店舗を休業する一方、サイゼリヤは酒類の提供をやめて午後8時までの時短営業にする方針。
 酒類を提供する中小の飲食店主たちは不満爆発だ。

 東京・新宿区にある定食酒場食堂の天野雅博氏はこう語る。

「今回の緊急事態宣言はパワーアップし、いよいよ“小池幕府”が本領発揮。酒類の提供店は休業!? おい、おい、日銭で生きてる飲食に休業だって! 明日生きるお金はどーすればいいか。国、都、府、県が、出す出す詐欺風に要請。実際、すぐ申請も始まらず、まだ今年の1日6万円も1回目ももらってない飲食店多数だ。2回目は、5月頭申し込み開始か」

 もらえるはずの協力金がもらえないことで、反社会的勢力をもうけさせるという負の部分もあるという。

「これじゃ、みんな、ヤミ金に走るわ。実際どこからも資金調達できない店主はヤミ金に走ってる。ヤミ金は必ず入ってくる金だからね。法外な利息で貸し出し、莫大な利益を上げている。国はヤミ金を支援しているのと同じ。飲食店が一致団結して、“倒幕”せねば」と天野氏。

 また、これまでも、そして今度も“正直者がバカを見る”状態になっているところもおかしな点だ。

 東京・港区赤坂のバーのマスターは「当店では今までも行政の要請に従って休業、時短してきましたが、従っていないと思われる店舗が満席状態で、さらに空席待ちで行列をなしている…本気で感染拡大防止に取り組もうとしている店舗との温度差を感じざるを得ません。行政の要請に従っていても感染拡大が止まらない状況を見ると、従っても意味がないと考えるお店があっても仕方がないのかなと思います」。

 また、新宿・歌舞伎町の「MUSIC BAR BEAT EMOTION」のオーナー園部英道さんはこう話す。

「休業要請で納得いかないのは、前回の緊急事態宣言で午後8時までの時短で1日6万円が出たのに、今回は休業要請で1日4万円なのが不思議です。一番おかしいと思うのは、売り上げで協力金に差が出るのは当たり前だと思いますが、お酒提供・カラオケ提供の店は休業要請で3000万円未満の売り上げで1日4万円、普通の飲食店が1時間時短で同じく1日4万円。意味不明です。さらに同じ売り上げでも、新宿と地方ではテナント料や人件費も違うので、出費は新宿の方が高く、収入は地方の方が高い。地域格差も無視なのは意味不明です」

 業態を変える店も出てきた。

 別の港区のバー経営者は「翻弄されて飲食店の経営に疲れました。室内ゴルフに業態変更を考えているので、今回の緊急事態宣言で飲食店経営卒業が早まりました。単価が高くて売り上げがつくりやすいので、銀座や築地にも室内ゴルフが増えてるんですよ」と言う。

 とにかく不満ばかりだ。