あと1か月で卒業なのに…藤井聡太2冠 高校退学のウラに千載一遇の“大覚醒”

2021年02月17日 11時30分

大きな決断を下した藤井聡太2冠

 日本将棋連盟は16日、将棋の藤井聡太2冠(王位・棋聖=18)が今春、卒業を予定していた名古屋大教育学部付属高校(名古屋市)を1月末で自主退学したことを発表した。今後は将棋に専念するというが、なぜ、あとちょっとで卒業なのに退学したのか。天才高校生棋士として活躍した裏側で、対局スケジュールによって多忙を極めていたことも事実だ。プロ棋士も「それでもこの時期に退学とは…」と驚きをあらわにする。

 藤井2冠は、昨年秋には退学の意思を決めていたという。

 連盟を通して「タイトルを獲得できたことで将棋に専念したい気持ちが強くなりました。秋に意思を固め、数回学校と話し合いをした上、1月末日付で退学届けを提出いたしました。一層精進していく所存ですので、今後ともよろしくお願い申し上げます」とコメントした。 

 藤井2冠は名古屋大教育学部付属中学に在学中の2016年10月、最年少の14歳2か月でプロ入り。17年に最多29連勝を達成し、社会現象を巻き起こした。18年4月に中高一貫校の高校に進学。高校在学中の昨年7月、棋聖戦5番勝負を制し、最も若い17歳11か月でタイトルを奪取。同8月には王位を獲得し、最年少の18歳1か月で2冠に輝いた。

 藤井2冠は昨年、王位戦7番勝負と棋聖戦5番勝負の対局のために地元の愛知から遠征を重ねるなど、多忙を極めた。そのために、一部では出席日数が足りていなかったのではとの推測もされている。それにしても、あと1か月ちょっとで卒業だったのに…。

 プロ棋士の勝又清和七段は「藤井さんは昨年かなりレベルアップして、恐ろしいほど強くなっている。だから今は将棋に集中したいと思うのも不思議ではない。彼も、今が一番伸びている時期だという自覚があるのではないか。本人なりに、今が大事な時期だと判断したのだと思う。それでも、この時期に退学とは」と指摘する。

 過去を見れば、中学・高校生棋士は多かった。

「中学生でプロ棋士となった羽生善治九段も高校を中退されている。羽生さんが高校3年生の時は年間80局だったが、藤井さんは46局。ただ、藤井さんの場合は特に昨年のタイトル戦の際、愛知から日本各地の会場に遠征に行く必要があったので、当時の羽生さんよりも忙しかったのではないでしょうか」(同)

 藤井2冠は、タイトル戦にからむほどの強さゆえに、高校を退学する決断をしなければいけなかったのだろうか。

「特に王位戦の7番勝負は2日間の対局なので、前日入りして対局後の翌日に帰るとなれば1度の対局に4日かかる。まともに学校に通える状態ではなかったと思う。私立の学校なら、それでも卒業できたかもしれないが、国立の学校だと難しいのではないか」と勝又七段は推測する。

 また、羽生九段は都立富士森高校を出席日数が足りずに中退後、転入した都立上野高校通信制課程を卒業している。

 これに勝又七段は「羽生さんのように、また勉強したいと思えばいつでもできるので、そういう気持ちなのではないでしょうか。藤井さんが勉強に対する向上心がないとはとても思えないので」と話す。

 藤井2冠は「2冠を取って環境が一変し、スケジュール的に来年4月の聖火ランナーの約束がしづらい」として、愛知県瀬戸市で予定していた東京五輪の聖火ランナーも辞退している。

 棋士に学歴は不要だろう。故米長邦雄永世棋聖が「うちの兄貴たちはバカだから東大に行った。私は天才だから棋士になった」という発言は有名だ。

 これからは将棋一本。さらに注目を集めることになりそうだ。

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