テレビ局が頭を抱える都知事選“トンデモ”政見放送

2020年06月22日 17時00分

訴訟リスク覚悟の政見放送となった立花氏

 東京都知事選(7月5日投開票)の政見放送が今週から始まる。NHKから国民を守る党代表で今回はホリエモン新党から出馬している立花孝志氏(52)のトンデモ政見にNHKは一時、放送NGを通告すれば、他に政見放送を受け持つTOKYO MX、ニッポン放送も頭を抱える事態となっているのだ。

 首都の顔を決める都知事選は、国政選挙や道府県知事選と同様に政見放送が行われる。当選は絶望的といわれる候補者が、300万円の供託金を没収覚悟で多数出馬するのも、この5分30秒の“放映権”を買う意味合いが大きい。

 立花氏は4年前の都知事選で、「NHKをぶっ壊す!」「不倫路上カーセックスを隠蔽するNHKを許さない」と連呼して一躍注目され、昨年の参院選での当選、N国の国政政党化につなげた。

 今回も「バカなことをしないと注目されない」と、結党したばかりのホリエモン新党のアピールの場と位置付けており、前回以上の過激な内容になった。なんと4年前に写真週刊誌で不倫路上カーセックスを報じられたNHK男性キャスターと女性アシスタントに扮し、NHKの不祥事をニュース調で読み上げれば、あえぎ声を出しながらまぐわう場面をコント仕立てで演じたというのだ。

 NHKのスタジオは凍り付き、担当者から「これは放送できません」と物言いがつけられたという。政見放送は公序良俗に反しない限りはそのまま放送するのがルールだが、問題とされたのは立花氏が男性キャスターの実名を挙げたことだ。立花氏は「名誉毀損で訴えるかは本人(男性キャスター)が決めること」と反論。NHK、選挙管理委員会との間で協議となり、結局そのままオンエアされることになるという。

 立花氏の暴れっぷりはこれだけではない。政見放送はNHKのほかに民放テレビ局でも別撮りで流され、今回はMXが担当する。MXと立花氏とは昨年7月に「5時に夢中!」でコラムニストのマツコ・デラックス(47)が「ふざけて投票した人もいる」「気持ち悪い」と立花氏およびN国を批評したことに対し、立花氏がスタジオ前で抗議に出る騒動があった。

 今年4月に立花氏は損害賠償を求めて、MXとマツコを民事で提訴し、係争中だ。その立花氏が、MXが受け持つ政見放送に出演するのは皮肉なものだが、マツコと裁判になっている事態について、政見放送の冒頭に触れているという。MXは政見放送を流さないワケにもいかず、苦虫をかみつぶす思いでいるだろう。

 さらに政見放送はラジオでも流れる。NHKとMXで収録した分の音声のみバージョンで、NHK第1とニッポン放送が担当するが、こちらも因縁の組み合わせが実現した。

 ホリエモン新党は実業家の堀江貴文氏(47)が事実上、お墨付きを与えた政党だが、堀江氏とニッポン放送といえば、2005年のフジテレビ買収騒動の因縁がある。堀江氏はニッポン放送がフジテレビの筆頭株主にあたるいびつな株式構成に目をつけ、ニッポン放送株を買い集め、フジサンケイグループの支配にあと一歩まで迫った。

 フジテレビの恨みはすさまじく、騒動から15年たった今でも堀江氏はフジとニッポン放送への出演はゼロで、事実上の出入り禁止状態になっていた中、都知事選には堀江氏秘書の斉藤健一郎氏(39)がホリエモン新党から出馬。持ち回りとはいえ、ニッポン放送が担当局となったのは何の因果だろうか。

 斉藤氏は「ほぼほぼ堀江の話しかしませんでした」と“代理出演”で親の敵を討ったかにも映るが「実はあまり聞いてもらいたくないです」とも。ホリエモン新党関係者は「ちょっと“放送事故”に近い内容になってしまい、撮り直そうとしたが、そっちの方が面白いとなりました」と証言する。

 そのほかにも前回の都知事選で、各地の方言で性器の名称を紹介し、修正が入った後藤輝樹氏(37)が今回も出馬しており、「普通に放送されないかもしれない」とツイッターで報告している。政見放送は、話題となれば、放送後もユーチューブ等で何十万回と再生されることになる。