日本テレビが新型コロナウイルスでパニックになっている。感染を疑われているのは2人の社員と、同局に常勤する番組制作会社社員1人の計3人。確定診断が出たわけではないため、いずれも自宅待機中というが、局内には「感染者が出たようだ」との噂が一気に広まり、当該部署では大騒ぎになっている。ニュースはもとより、情報番組でも取り上げない日はない新型コロナウイルスの恐怖が、日テレに襲いかかった――。

 日テレ関係者によると、ウイルス検査の結果は出ていないものの、確かに感染の疑いがある社員と、制作会社所属の番組スタッフがいるという。

「局内は蜂の巣をつついたような騒ぎになっています。まだ、感染が確定したわけではないようで、正式発表はされていませんが、感染者が出たとの噂が出ているのは報道局。2人が感染疑いで現在、自宅待機を命じられている。1人は関連取材をしていた記者。タクシーやハイヤー運転手を取材中、偶然、陽性反応の人に出会ってしまった。微熱や体がだるいなどの症状が出ている。さらに、もう1人は中国出張から帰国した記者で、発熱と咳の症状が収まらず、自宅待機中です」

 3人目は某情報番組の制作を請け負い、局内に勤務する制作会社のスタッフだという。

「先日、NTTデータが『協力会社の社員で東京都港区にあるビルに勤務していた男性が感染した』と発表しましたが、制作会社スタッフは日テレに近いこのビルに出入りしていたそうです。彼も自宅待機中ですが、感染が確定した場合、番組スタッフで、出演者と濃厚接触していた可能性があるわけですから、ウイルス検査が必要になる範囲はかなり広くなるでしょう」(同)

 もしもこのスタッフが感染していたら、番組のMCや局アナ、ゲストのタレント、コメンテーターも“隔離”が必要となり、仕事ができなくなる恐れがある。

「口さがない出入りの広告代理店マンは『隠蔽しているのでは?』などと無責任な発言をして、噂が広まってますが、報道が使命のテレビ局で局員が感染したら真っ先に報じるのは当然。その報道が現段階でないわけですから、3人はまだ感染確定という段階ではない」(別の日テレ関係者)

 万一に備えてか、日テレ内では変化が起きているとも。「そのADの話が出たのが19日で、翌20日になって総務局から局員へ一斉メールが送られた。3月末まで時差出勤、在宅勤務を推奨するというもので、裁量労働の社員(情報・制作局、報道局、スポーツ局)も含む全社員が対象とのこと。局内がかなりざわつきましたね」(同)

 さらに、週間で視聴率3冠王を取ると、ごほうびとして社員食堂が無料になっていたが、20日から「当面の間、廃止」とされたという。

「ここ数年間は週の3日は朝昼晩とも無料で食事が提供されていたんですが、社食に一斉に人が集まることでコロナの感染リスクが一気に高まるというのが廃止の理由。在京テレビ局で時差出勤や在宅勤務の奨励、無料社食の廃止を打ち出したのは日テレだけというのもあり、局内に感染者が出るのを想定した動きなのではないかといわれています」(同)

 報道機関でいえば、共同通信社(東京都港区)が17日、新型コロナウイルスに感染したハイヤー運転手の車に今月上旬に乗った同社職員10人の健康を観察するよう保健所から指示されたことを発表。うち7人を18日以降、順次業務に復帰させ、3人は最長23日まで自宅待機としている。

 3人に発熱などの症状はないというが、首相官邸クラブ記者を乗せて取材先を回っていたことから、懸念が広がった。

 日本テレビの“感染疑い”の3人が、陰性であることを祈るばかりだが、国内感染例は増え続け、計728人。どこから感染者が出てもおかしくない状況だ。