そこまで明かしていいのか――。作家で環境保護活動家のC・W・ニコル氏(76)の娘ニコル・亜莉紗容疑者(31)が、覚醒剤取締法違反(使用)容疑で7日に逮捕されていたことが、9日に明らかになった。同容疑者は妊娠中だというからショッキングだ。それ以上に驚かされるのは、父親のニコル氏の対応。コメントを発表したが、そこには報道各社も引用をためらうような娘の極めてプライベートな問題が列記されていた。父が娘の秘密を明かす――理解に苦しむ「親子関係」が浮かび上がった。

 ニコル氏といえば、作家であり冒険家で、今はやりのナチュラリストの先駆者にして、環境保護活動家でもある。日本では靴のCMでなじみのある人も多いだろう。

 英国ウェールズ生まれで1995年に日本国籍を取得。2005年には日英の関係発展に貢献したとして英国の名誉勲章も授与された。プライベートでは2度の結婚歴があり、前妻との間に3女、80年に結婚した現妻との間に1女をもうけた。今回逮捕されたのが、現妻との一人娘、亜莉紗容疑者だった。

 逮捕容疑は昨年11月ごろ、東京都内またはその周辺で覚醒剤を使用した疑い。同月に情報提供があり、警視庁渋谷署が亜莉紗容疑者の尿を採取し鑑定した結果、陽性反応が出た。渋谷署によると、同容疑者は「弁護士が来てから話します」と供述。現在妊娠中であることも分かった。

「売人グループの突き上げ捜査から発覚したわけではない。妊娠中に覚醒剤を使用していたことも把握している。今後は入手ルートを追及していく」とは捜査関係者。

 落ち着いた雰囲気の父親と違い、亜莉紗容疑者には精神的に不安定な部分があった。

 ツイッターでは「初めまして、私もうつ病でたまに自傷したりします。」と告白したり、「やっぱり生活保護を受けてるから病院ですらしっかりと病気の治療をしてくれない…目の前のお金に騙されて翻弄されて社会の底辺に落ちてしまった」などと不安定な精神状態をアップしていた。金に困り、風俗求人サイトに興味も示すような投稿もあった。

 フェイスブックでは父ニコル氏とにこやかなツーショット写真を投稿しているかと思いきや「悲しい。死にたい。助けて」と書き込むなどしていた。

 ニコル氏の所属事務所関係者は9日、本紙の取材に「彼女は狂言が多く、日によって様子が違います。家族に攻撃的な言葉を浴びせることもあり、ニコルは対応に苦慮していました。連絡はほとんど取らず、彼女がどこで何をやっているかもわからないと思います。逮捕のニュースもテレビで知ったくらい。妊娠や子供の父親のことはわかりません」と話した。

 その後、今度はニコル氏自身が報道各社に書面でコメントを発表。そこに記されていたのは、報道各社も引用をためらうような娘のプライバシーに関わる以下の記述だった。

「娘は、発達障害があり、人の気持ちを分からせるのに大変苦労をしましたが、親として愛情をもって向き合ってきたつもりです。しかし、残念ながら、成長してからはうつ病にもなり、今は障害者手帳を持って生活していました」

 ニコル氏自身も直腸がんを患い、昨年11月に入院。まさに娘が逮捕された7日に退院したばかりという事実も明かした。その上で書面では「退院の時には(亜莉紗が)病院に来てくれると言っていたのに来ないので心配していました」としている。

「一日も早く会って、これからの生き方について、しっかりと話し合いたいと思っています」という言葉で締めくくっている。父親として、メディアに精一杯対応しているのは理解できるが、娘の病名を明かすことには、そこまでする必要があるのだろうか、との疑問も湧いてくる。

 また、書面にある娘の名前は「亜莉沙」。実際は「亜莉紗」で、我が子の名を間違えているのも「普通とは違う父娘の関係」をうかがわせる。

 捜査当局は昨年11月から亜莉紗容疑者の動向を追っていたが、最後まで居住場所はつかめなかった。「自称長野県信濃町在住というが、本当は帰る家がなかった」と捜査関係者は話している。