ウクライナ軍が、ロシア軍の猛攻を受ける最前線から、両脚を失った兵士を大型ドローンで空中救出することに成功した。世界初とされる異例の作戦で、まるで映画「スター・ウォーズ」のような救出劇だった。ウクライナの軍事メディア「アルミヤインフォルム」が19日、報じた。

 救出されたのは、ウクライナ北東部ハルキウ州クピャンスク方面に展開していた49歳のコスチャンティン・ウラセンコ兵卒。ロシア軍のドローン攻撃によって戦友を失い、自身も両脚に重傷を負った。4月に右脚、5月に左脚を切断したが、たった1人で監視所を守り続けていた。

 周囲には地雷が敷設され、上空ではロシア軍のドローンが飛び交っていた。ウクライナ軍は無人地上車両などによる救出を何度も試みたが失敗。その間もドローンで食料や水、抗生物質、鎮痛剤を届け、兵士の命をつないでいた。

 ロシア軍はスピーカーから「おまえの仲間は助けに来ない。次の爆発はおまえに当たるかもしれない。白いライトで合図すれば助け出してやる。その後は捕虜交換で家に帰れるぞ!」と繰り返し投降を呼びかけた。

 しかし、兵士は「ロシアの軍艦よ、くたばれ!」と叫んで拒絶。すると、ロシア軍は対戦車地雷2個を投下してきたという。

 絶体絶命の兵士を救うため、ウクライナ軍が投入したのは、国産大型ドローン「アユダグ6」だった。6つの回転翼を持つ大型機体を人間の輸送用に改造。兵士をつり下げて輸送できるよう工夫した。

 作戦には数十人が参加。砲兵、電子戦部隊、防空部隊などが連携し、ドローンの飛行を援護した。

 操縦士は事前に、兵士が自分の体を機体に固定する方法を動画で説明。救出当日、兵士は指示通りに体を固定すると、機体のカメラに向かって指でハートマークを作った。

 それを確認した操縦士は大型ドローンを離陸させ、体重80キロの兵士をつり下げたまま、15キロ以上を飛行して無事に救出した。

 作戦に参加したコールサイン「ベイダー」の兵士は「まるでスター・ウォーズだった! ものすごい大作戦だった!」と興奮気味に振り返った。

 救出された兵士は病院で複数回の手術を受け、今後は義足の装着とリハビリに取り組む。「彼らはみんな私の天使です。誰も私を見捨てていない。その思いが私を支えてくれた」と感謝を口にした。