ノーベル化学賞を受賞した東京理科大名誉教授の硤合(そあい)憲三氏(76)が7日、同大で記者会見を行った。

 スウェーデン王立科学アカデミーは硤合氏と仏パリ・サクレー大のアンリ・カガン名誉教授の2人に授与すると発表。日本のノーベル賞受賞は3年連続で、一昨年の被爆者団体の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」の平和賞、昨年の坂口志文氏の生理学・医学賞、北川進氏の化学賞に続いた。快挙の背景にはマイペース力と感謝があった。

 受賞理由は「不斉有機合成における非線形効果と自己触媒反応」の発見。化学反応を利用して物質を作る際に同じ原子で構成されていても右手と左手のように立体構造の異なる物質が生じることがある。「キラリティー」と呼ばれる化学的な非対称性がなぜ生じるのかは1世紀以上にわたる謎だったが、硤合氏らが解き明かした。

 スーパーマーケットで買い物中に受賞の連絡を受けた。受賞の感想を問われると「自分で言ったら、ちょっとおこがましいんですが、受賞できても文句は言われないだろう」と話し、笑いを誘った。

 研究をしていて苦しかったことを問われると「なかったとは言えないですけど。全然覚えてないというか、気にもしてない。端から見たら苦しい状態が続いていたかもしれないけど本人はそうは思ってない。新しい実験事実をどんどん見つけるわけですから。楽しいというよりは感動した」とマイペースに研究を続けた結果だという。

「研究における感動とは?」との質問にも「学生諸君、共同研究者との出会いは人生における感動。実験化学というのはコンビネーションが大事。非常にいい人たちに巡り合えたという感動があります」と感謝を述べた。